研究課題/領域番号 |
20K20585
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 和利 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (80432326)
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研究分担者 |
岩崎 未央 京都大学, iPS細胞研究所, 講師 (10722811)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
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キーワード | 非標準的翻訳 / 多能性幹細胞 / 分化多能性 / リボソーム / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
これまで翻訳されないと考えられてきた種類のRNAが実際は非標準的な機構で翻訳されていることに注目し、従来見過ごされてきた新規翻訳産物を同定することで現行タンパク質カタログを大幅に拡張する。これをもとに機能的スクリーニングを行い、ヒト分化多能性細胞をモデルとして、細胞の性質や運命決定機構を説明するにあたって「足りないもの」を探し出す。新しい分野の開拓により、真に細胞を理解することを目指す。
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研究実績の概要 |
非標準的な翻訳を受けるRNA (non-canonical translated RNA: nctRNA) を網羅的にマッピングする目的で、ヒト分化多能性幹細胞 (H9 ES細胞株およびWTB6 iPS細胞株) を用いてリボソーマルプロファイリングおよびRNAシークエンシングを行った。結果として、再現性が高く非常にノイズの少ない翻訳プロファイルを得ることができた。ORF-RATERプログラムを利用して、翻訳プロファイルからヒト分化多能性幹細胞における新規ORFを決定した。さらに被翻訳RNAの候補としてヒト分化多能性幹細胞で発現する環状RNAの同定を行った。線状RNAを特異的に消化するRNase RでトータルRNAを処理し、環状RNAを濃縮した。濃縮した環状RNAを次世代シークエンサーで解析することで効率よく検出することに成功した。今後は想定した環状RNAの翻訳状態を調べるために、リボソーマルプロファイイングやポリソームプロファイリングを実施する。また、環状RNAをターゲットとした機能スクリーニングも実施予定である。 加えて、昨年度にCRISPR interference (CRISPRi) を用いた機能スクリーニングで同定したヒト分化多能性幹細胞の自己複製 (生存・増殖) に必要な遺伝子の機能解析を行った。スクリーニングでヒットした翻訳制御因子を個別でノックダウンしたところ、ヒト分化多能性幹細胞の未分化状態維持が破綻する表現型を示す複数の遺伝子が確認できた。今後はこれらの機能解析を行い、多方面から非標準的翻訳の重要性に迫りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに準備していた実験系がうまく働き、良好な結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の遂行に必要である高品質なデータの取得を行うことができた。まだ検討中の実験や未取得のデータについては、慎重な条件検討を行った後に高品質なデータを取得することを目指す。得られたデータのインフォマティクス解析についても、解析のプラットフォームがうまく機能しているので今後はスピードアップが期待できる。 RNAや翻訳状態に関するデータがほぼ揃ったので、今後は質量分析を用いたタンパク質データを取得し両者を照らし合わせることを目指す。現在低分子タンパク質の効果的な検出に向けた条件検討を行っており、今年度はプロテオーム解析を中心としてプロジェクトを推進したい。 また、CRISPRiを用いた機能スクリーニングにより得られたヒト多能性幹細胞の自己複製に必須な翻訳制御因子の機能解析も継続して実施し、細胞の性質維持における非標準的翻訳の重要性を示すことを目指す。
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