研究課題/領域番号 |
20K20588
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 医学部, 理事 (20207533)
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研究分担者 |
赤津 裕康 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00399734)
柳沢 大治郎 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 准教授 (50581112)
水上 民夫 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 客員教授 (80367896)
金田 大太 医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所, 神経病理研究所, 副所長 (40564795)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 認知症 / AI / プリオン / 診断 / アルツハイマー病 / タウタンパク / 神経科学 / 組織細胞化学 |
研究開始時の研究の概要 |
血液を介さずに脳内と物質の移動が行われることが知られている鼻腔・鼻粘膜に着目し、ヒト鼻粘膜に存在する異常タンパクのプリオン活性を指標として、認知症や神経変性疾患の診断に役立てることを目的とする。鼻粘膜に蓄積する異常タンパクは極めて微量で有るが、量ではなく、病的なプリオン活性を指標とし、異常タンパク質凝集体の検出に、共同研究者の有するAIによる細胞の見える化技術を取り入れることで、これまでにない画期的な認知症診断法を開発に挑戦する。
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研究実績の概要 |
2020年度は、倫理委員会の承認を得て、プリオン活性を検出するバイオアッセイ系を構築し、アルツハイマー病患者および対照例の剖検脳および鼻粘膜サンプルを用いてプリオン活性を測定した。その結果、アルツハイマー病患者からの試料で強いプリオン活性を認めた。鼻粘膜サンプルではタンパク量が少なく、ELISA測定ではアルツハイマー病患者と対照例の間に優位な差は、認めなかった。この結果は、ヒトの鼻粘膜サンプルを用いたアルツハーマー病診断には、プリオン活性を測定する方がELISA法で測定するよりも診断能力が高いことを示している。これらの成果をJAD Reports に論文発表した。 2021年度は、アルツハイマー病例、対照例の脳サンプルのプリオン活性を蛍光顕微鏡で測定した後、蛍光を使わない位相差画像も取得し、AIを用いて解析した。AIを用いても蛍光画像で検出できるプリオンを位相差画像から正確に検出することは困難だが、AIを用いて位相差画像を解析することで、アルツハイマー例と対照例を区別できることが分かった。 2022年度は、培養細胞でAIを用いてアルツハイマー病を診断するための、AI技術を様々なプログラムを用いて検討した。また、ヒトの剖検脳組織、剖検鼻粘膜組織を用いて実際にリン酸化タウタンパクがヒト鼻粘膜に存在することを確かめ、Acta Histochemica et Cytochemica誌に発表した。 2023年度は、引き続き培養細胞で蛍光観察を行わずにアルツハイマー病を診断するための、AI技術を様々なプログラムを用いて検討した。その過程でアルツハイマー例では、プリオン活性を強く示す例(およそ70%)と活性の弱い例が存在することが判明した。その分子病理的な背景について検討を開始した。なお、これまでの成果をまとめ、その一部を第50回日本脳科学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、引き続き培養細胞で蛍光観察を行わずにアルツハイマー病を診断するための、AI技術を様々なプログラムを用いて検討した。その過程でアルツハイマー例では、プリオン活性を強く示す例(およそ70%)と活性の弱い例が存在するという新しい事実が判明し、このことが解析に影響した。そのため、研究の進捗にやや遅れが見られ、研究期間を1年延長することになった。現在は、研究はほぼ順調に進んでおり2024年7月28日に米国フィラデルフィアで開催される国際アルツハイマー病学会で、成果について発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたるので、鼻粘膜サンプルを用いて、培養細胞のアッセイ系に投与し、AI技術を用いることで、アルツハイマー病を診断する技術の確立を目指す。これまで得られた研究成果をまとめ、2024年7月28日に米国フィラデルフィアで開催される国際アルツハイマー病学会で、成果について発表する。
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