研究課題/領域番号 |
20K20598
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 豊 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00419897)
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研究分担者 |
飯島 健太 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 研究技術職員 (20565626)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
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キーワード | 非翻訳RNA / エピゲノム / DNA損傷 / 相同組換え修復 / 長鎖非翻訳RNA |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノム、およびエピゲノム安定性の維持は細胞の生存や個体の発生において極めて重要であり、その破綻はがん等の疾患の原因となる。ゲノム安定性の維持機構については長年の研究により詳細なメカニズムが解明されてきた。一方でエピゲノムの安定性については、DNA損傷時にエピゲノム情報が失われたり傷ついた際に、どのようにオリジナルのエピゲノム修飾が修復・維持されるのか(エビゲノム修復機構)については解明が進んでいない。本申請課題では、DNA損傷によってDNAメチル化情報やヒストンタンパク質の脱離した領域におけるエピゲノム修復機構として、lncRNAを介する機構を提起し、エピゲノム安定性に関して解明を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究では、DNA損傷時のエピゲノム安定性の維持・調節機構について、長鎖非翻訳RNAの機能に着目し明らかにすることを目的とする。ゲノム、およびエピゲノム安定性の維持は細胞の生存や個体の発生において極めて重要であり、その破綻はがん等の疾患の原因となる。特にDNA損傷時にエピゲノム情報が失われたり傷ついたりした際に、どのようにオリジナルのエピゲノム修飾が修復・維持されるのかについては解明が進んでいない。本研究では、DNA損傷時のエピゲノム安定性の維持・調節機構について、長鎖非翻訳RNA(lncRNA)の機能に着目し明らかにすることを目的とする。とりわけ、これまで解析を進めてきたTUG1を含めDNA損傷関連lncRNAに注目する。エピゲノム不安定性は、がん細胞の発生および可塑性の獲得のための分子基盤として重要な要素のひとつであり、その誘導機序を解明することは、がんの生物学的理解のみならず、新たな予防・治療標的を見出す革新的アプローチにつながる。本研究ではDNA損傷によってDNAメチル化情報やヒストンタンパク質の脱離した領域におけるエピゲノム修復機構として、lncRNAを介する機構を提起し、エピゲノム安定性に関しての解明を試みる。本年度は、① DNA損傷修復に関連する新たなlncRNAの同定、③ DNA損傷に関与することを明らかにしたTUG1についての機序の解明、を実施した。なお一昨年度確立したDNA損傷誘導系を評価した結果、DNA損傷誘導が予測通り進まずそのサブテーマについては計画を中断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① 一昨年度までに修復部位のlncRNAおよびエピゲノム修飾因子の同定とエピゲノム修復機構の解明に用いるU2OS 2-6-3細胞(LacO反復配列安定導入細胞株)へ、Cas9 nucleaseとLacO配列を標的とするsgRNAを導入し、LacO領域におけるCas9タンパク質の集積、およびDNA損傷誘導を確認した。DNA損傷誘導について予測された遺伝子領域に安定して損傷が入らずアッセイ系の評価を中断した。② DNA損傷を誘導する新たなlncRNAの同定を目指して、DNA損傷の誘導に用いられるカンプトテシン(CPT)やヒドロキシウレア(HU)で細胞を処理し、再現性高く発現が亢進するlncRNAを新たに同定した。③ DNA損傷に関与することを明らかにしたTUG1についての機序の解明、を実施した。④ 同定したlncRNAに結合するタンパク質の同定法(CRISPR-assisted RNA-protein interaction detection method, CAPID)法を樹立した。
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今後の研究の推進方策 |
新たにDNA損傷修復に関わるlncRNA を発見した。興味深いことにrDNAとミトコンドリアDNAの損傷修復に関わる可能性を見出した。そこで樹立した同定したlncRNAに結合するタンパク質の同定法(CRISPR-assisted RNA-protein interaction detection method, CAPID)法を用いて、新規lncRNAについての機能解析を開始している。DNA修復部位のlncRNAの同定とエピゲノム修復機構の解明に挑戦したが、予測通りの結果が得られなかった。一方で本研究を推進する過程で上述した新たにlncRNAによるrDNAとミトコンドリアDNAの制御および自然免疫の活性化機構を発見した。令和5年度はこの新しい機構について、本研究で樹立したアッセイ法を駆使して研究を進める。
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