研究課題/領域番号 |
20K20601
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00272477)
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研究分担者 |
高橋 尚人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50197159)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
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キーワード | シトクロム / グリンファティックシステム / NIRS / 脳 / 代謝 / 酸素化 / 近赤外分光法 / ヘモグロビン / 乳児 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの脳の多波長光イメージングの新規な手法を開発し、血流・代謝のダイナミクスの解析を行い、その発達機構を解明する。小型の多波長近赤外光源を用いて、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、酸化型シトクロムcオキシダーゼを同時にイメージングする装置を開発する。血液製剤と酵母菌を用いたファントムにより、装置の評価を行う。新生児から成人まで、刺激時および安静時の脳のヘモグロビンとシトクロムの酸素化動態の同時計測を行い、時系列から抽出した位相ダイナミクスの解析により、神経活動・血流・代謝の連関の発達機構を明らかにする。新たな光脳機能イメージング手法の枠組みを開拓する。
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研究実績の概要 |
脳における血液酸素化・代謝・グリンファティック系の動態を多波長近赤外分光法(NIRS)を用いて、非侵襲的に計測可能な方法の確立を目指した研究を行ってきた。昨年度、新たに導入した8波長レーザーの組み合わせで、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)、脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)、シトクロムcオキシダーゼの酸化型と還元型の差分(ox-CCO) の濃度変化、水(H2O)の体積変化を感度良く計測可能であることを示す結果を得ていた。しかし、ヘモグロビンに比べて、信号変化の小さなシトクロムcオキシダーゼと水の変化に関する信号に関して、ヘモグロビンの信号変化によるクロストークの影響の検証が必要だと考えられた。4種類の吸光物質を同時に変化させるファントムを作成することは困難であるため、脳内のox-CCOと水の変化が十分に生じることが知られている呼吸操作課題を用いて検証することにした。成人3名を対象とし、左前頭部において組織深度の異なる4チャンネルでのNIRS計測を行った。同時に、カプノメーターで呼気終末二酸化炭素分圧をモニターしながら、3分間の過換気を行う課題の前後で、二酸化炭素分圧の低下にともなうox-CCOの低下が見られるかを検証した。また、一定の周期で吸気と呼気を繰り返すとき、それに同期して水の変化が生じるかどうかを、座位及び仰臥位の姿勢で検証した。いずれの場合も、Hbの変化にともなうox-CCOと水の変化は極めて小さく、クロストークの影響は少ないことが検証された。さらに、ox-CCOと水にも想定される変化が検出された。姿勢による変化の違いも得られた。ただし、被験者ごとに変化の詳細が異なるため、さらに多くのデータを取得し検証が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していなかった脳内のグリンファティックシステムの動態を代謝の動態と同時に計測可能であることに気づき、この手法を確立するための研究が進展した。一方、新型コロナウイルス感染症の影響で、乳児を対象とする計測の実施を2年間以上停止したことで、より長い研究期間が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
成人を対象とした検証を十分に行った後に、乳児を対象とした睡眠時の計測を実施し、脳における血流・代謝・神経活動・水輸送の連関の発達過程に迫る。
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