研究課題/領域番号 |
20K20602
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
尾崎 紀夫 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (40281480)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2020年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | 22q11.2欠失 / 3q29欠失 / iPS細胞 / 精神疾患 / 心疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
精神疾患の発症に強く関連するゲノム変異22q11.2欠失、3q29欠失を有する患者では心疾患も合併することが多い。しかし従来、精神疾患の病態解明研究において、脳病態の解明に専ら焦点づけられ、心臓病態と脳病態との関係性に関してはアプローチされることが乏しかった。本研究は脳と心臓の病態に関連性について、22q11.2欠失、3q29欠失患者の臨床所見・iPS細胞・モデルマウスから包括的に明らかにして、将来は、効果に優れ、副作用の少ない精神疾患治療薬の開発に繋がることを目指している。
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研究実績の概要 |
精神疾患患者は心疾患の合併率が高く、心疾患患者においては精神疾患の合併率が高く、さらに合併が精神疾患と心疾患の互いの予後に影響し合うなど、臨床的には双方の関連性が示唆されている。しかし両者の病態レベルでの関係性は不明で、合併例の治療戦略を立てる糸口がないのが現状である。以上を踏まえた本研究は、臨床所見、ヒトiPS細胞及びモデルマウスを活用した多層的解析により、心臓病態と脳病態の関連性を明らかにすることを目的とした。本年度は、(1) 22q11.2欠失症候群患者iPS細胞からの心筋細胞への分化誘導法の確立、(2) 22q11.2欠失症候群患者及び3q29欠失症候群患者iPS細胞由来興奮性神経細胞のトランスクリプトーム解析、(3) 22q11.2欠失モデルマウス心臓・脳のトランスクリプトーム解析を実施した。 項目(1)について、iPS細胞株毎で心筋細胞分化誘導法の最適化を実施し、22q11.2欠失患者3例から心筋細胞マーカー陽性率80%以上の心筋細胞ストックを得た。現在トランスクリプトーム解析を実施している。項目(2)については、前年度に作製したiPS細胞由来興奮性神経細胞のトランスクリプトーム解析により、22q11.2欠失患者と3q29欠失患者で共通の遺伝子発現低下を見出した。また、本遺伝子は心疾患との関連性が報告されており、心臓病態と脳病態の関連性を明らかにするため詳細な解析を進めている。項目(3)については、生後0日目の22q11.2欠失モデルマウス心臓トランスクリプトーム解析から、心筋伝導系に関与するイオンチャネルの発現低下が認められた。現在、3q29欠失モデルマウスにおけるトランスクリプトーム解析も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初に使用を予定していた市販の心筋細胞分化誘導キットが突如販売中止となった影響により、別キットを用いた分化誘導の条件検討が必要となった。また、代替で使用したキットを用いても高純度の心筋細胞を得ることが難しく、分化誘導法を研究協力者の協力を得て最適化を行ったため、進捗はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに分化誘導法を確立、凍結保存したiPS細胞由来心筋細胞における細胞外電位を微小電極アレイシステムにより測定し、心筋伝導系に関与する各イオンチャネル(Na+, K+, Ca2+など)の阻害剤に対する反応性を確認する。また、興奮性神経細胞のトランスクリプトーム解析により見出された22q11.2欠失患者と3q29欠失患者の両者で発現低下が起きる分子について、iPS細胞由来心筋細胞においても発現低下が起きているかトランスクリプトーム解析により確認するとともに、その機能評価を行う。
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