研究課題/領域番号 |
20K20607
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
伊藤 学 佐賀大学, 医学部附属病院, 講師 (50555084)
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研究分担者 |
村田 大紀 佐賀大学, 医学部, 助教 (00772683)
天本 宗次郎 佐賀大学, 医学部, 医員 (10842908)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
蒲原 啓司 佐賀大学, 医学部, 教授 (70555086)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,350千円 (直接経費: 19,500千円、間接経費: 5,850千円)
2023年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 組織工学 / 下肢動脈 / バイオ3Dプリンタ / 幹細胞技術 / 小口径人工血管 / 下肢動脈バイパス |
研究開始時の研究の概要 |
生活様式の変化や社会人口の高齢化、糖尿病、脂質異常症、血液透析などの代謝異常による動脈硬化が引きがねとなり、下肢血行不全からの下肢の安静痛、潰瘍、壊疽に陥る重症下肢虚血症例が増加している。本研究では接着系細胞が元来もつ自己凝集能力によって形成される細胞凝集塊(スフェロイド)を立体的に構築するバイオ3Dプリンタ技術とヒトiPS細胞技術を用いて、未だ実現されていない重症下肢虚血をターゲットとした下肢遠位動脈バイパス用小口径人工血管を開発する。
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研究実績の概要 |
生活様式の変化や社会人口の高齢化、糖尿病、脂質異常症、血液透析などの代謝異常による動脈硬化が引きがねとなり、下肢血行不全からの下肢の安静痛、潰瘍、壊疽に陥る重症下肢虚血症例が増加している。下肢遠位バイパスに応用できる現行の異物人工材料を用いて作成した人工血管は、抗血栓性、抗感染性、免疫応答の面で課題があり、長期的な開存が困難である。 我々は接着系細胞が元来有する細胞凝集現象により細胞のみで構成される細胞凝集塊=スフェロイドに着目し、さらにスフェロイドを一つの単位として複雑な形状の組織を構築するバイオ3Dプリンタ技術を開発し、血管再生の研究を進めてきた。このバイオ3Dプリンタ技術の基盤となる自己細胞凝集現象(スフェロイド形成)とスフェロイド同士の融合にPI3K/AKTカスケードが関わることを見出し、さらに当該年度においてはPI3K/AKT経路の活性剤の一つであるTGFベータを含むFBSを細胞製人工血管の成熟段階で調整することで力学的強度がより向上する現象を確認した。 バイオ3Dプリンタで構築した構造体をバイオリアクターで成熟させながら連結させることで細胞製人工血管を作製し、ミニブタへの移植実験に成功した。また当該年度には薬理学的血管組織反応性評価を目的としたティシューバスシステムを導入し、ミニブタから採取した大伏在静脈に薬剤(フェニレフリンやアセチルコリンなど)を添加することで、平滑筋細胞と内皮細胞の相互作用による収縮・弛緩反応を確認した。今後は病理組織学的評価、力学的評価、分子生物学的評価に加えて、本システムを用いた薬理学的血管組織反応性評価を試みることで移植前後の細胞製人工血管と生体血管との比較検証へと発展させたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基盤となるバイオリアクターを用いた組織成熟工程の最適化、および下肢遠位動脈バイパス用細胞製人工血管の力学的強度の向上に繋がる知見が得られた。またミニブタへの移植実験にも成功しており、おおむね順調に経過していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
下肢遠位バイパスに適した細胞製人工血管の開発に向けて、スフェロイドの最適化、バイオ3Dプリンタを用いた組織構築法、そしてバイオリアクタを用いた組織成熟方法の検証と改良を継続する。引き続き、ミニブタを用いた大動物実験を行う。開存性の評価と共に、移植前後の細胞製人工血管と生体血管との比較検証のために病理組織学的評価、力学的評価、分子生物学的評価に加えて、ティシューバスシステムを用いた薬理学的血管組織反応性評価を試みる。
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