研究課題/領域番号 |
20K20612
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福本 敏 九州大学, 歯学研究院, 教授 (30264253)
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研究分担者 |
吉崎 恵悟 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10507982)
犬塚 博之 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (20335863)
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
阪井 丘芳 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (90379082)
山田 亜矢 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40295085)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 器官形成 / 歯原性上皮細胞 / 細胞転換 / 器官再生 / 歯 / 唾液腺 / 毛 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで再生技術は、胎児や成人組織に存在するわずかな幹細胞の利用、多能性細胞であるES細胞やiPS細胞の応用によるもであった。しかしながら、倫理的な側面や高コストであるなど問題も多く。また器官形成や臓器形成に関して、複雑な培養技術を用いる必要があり、さらには機能的な大型器官や臓器を作成する為に血管や神経構築が必要であることなど、具体的な課題は明確であるが、現時点で画期的な解決方法が存在しない。 そこで本研究では、器官再生に必要な上皮系細胞の人為的誘導法を開発し、低コストで簡便な器官再生技術開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では人工的に歯原性上皮を誘導し、この上皮組織を用いてさまざまな器官形成に供することを目的としている。これまでの研究で、マウス皮膚の上皮から歯原性上皮の誘導に成功したが、具体的に複数の細胞集団からなる歯原上皮細胞のうち、どのような細胞に変化したのかの詳細については不明であった。歯原上皮細胞は内エナメル芽細胞、外エナメル芽細胞、中間層細胞、星状網細胞の4種類の細胞に分類させるが、エナメル芽細胞に分化する内エナメル芽細胞以外の細胞に関しては、厳密に分類可能なマーカー分子が特定されていないために、その分化状況を正確に把握することができなかった。 我々は、マウスの切歯及び臼歯の歯胚を用いたscRNAシークエンス解析から、これまで不明であった外エナメル芽細胞、中間層細胞、星状網細胞に特徴的に発現するKrt15、Krt17を同定し、この2つの分子の発現パターンから歯原上皮細胞の細胞種を明らかにすることに成功した。 さらに歯原性上皮細胞の誘導に重要な歯特異的転写因子Epfn/Sp6やAmeloDの役割に関して、特にAmeloDと細胞内で結合する分子をtwo hybrid法を用いて検討を行った。その結果、約20種類以上の結合タンパクの同定に成功した。特にその中でも、これまで細胞外マトリックスの一つと考えられていたODAM分子が、AmeloDと特異的に結合していることを見出した。またAmeloD及びODAMの部分欠損を用いたタンパク相互作用の解析から、それぞれの分子の結合部位の同定にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯原性上皮細胞の分化誘導に関して、複数の細胞集団で構成されるため、どの種類の細胞がどの程度誘導されたのか、また個々の細胞集団が器官形成にどのように関わっているかについては、内エナメル上皮を除いてほとんど不明であった。 マウスの切歯及び臼歯の歯胚を用いらscRNAシークエンス解析から、これまで不明であった各細胞の分化マーカーを決定することができたこと、さらに一部その細胞機能の解明にも成功したことから、研究は順調に進んでいると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、歯原性上皮細胞と、各種器官の間葉細胞を合わせることで、間葉組織に依存した器官形成を誘導できることを見出している。また歯原性上皮細胞に関しても、皮膚細胞からの人工誘導に成功した。さらに誘導した歯原性上皮細胞の細胞評価(各細胞の分化マーカ発現の確認)も可能となったことから、人工誘導した器官の運命決定に関わる因子を同定することを目的とした研究を推進する。具体的には、歯原性上皮細胞+歯原性間葉、歯原性上皮細胞+唾液腺間葉、歯原性上皮細胞+毛包間葉さらには人工誘導歯原性上皮細胞を用いた器官形成過程を、scRNAシークエンス法にて解析し、器官の運命決定に重要な因子の同定を行う。 さらに、人工誘導した歯原性上皮細胞においても、4種類の細胞を目的別に誘導できる手法の開発を試みる。Krt15、Krt17の発現レベルの差から、少なくとも外エナメル芽細胞、中間層細胞、星状網細胞の3種類の細胞を分類できることから、Krtの発言を人工的に制御することで、各細胞の分化誘導技術を開発する。すでにKrt15、Krt17の遺伝子発現ベクターは構築済みであり、それぞれの単独遺伝子発現細胞、ダブル遺伝子導入細胞を作成し、人工誘導歯原性上皮細胞の細胞誘導効率(各細胞への分化誘導割合)の評価を行いながら、歯を構成する上皮細胞の自在な細胞分化誘導法を確率する。
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