研究課題/領域番号 |
20K20613
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 博之 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40221650)
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研究分担者 |
矢野 理香 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (50250519)
大森 亮介 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (10746952)
大久保 寅彦 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (90762196)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 温度制御 / 公共環境 / 環境細菌 / 乾燥抵抗性 / エアサンプラー / nhaA / メタゲノム解析 / 院内感染 |
研究開始時の研究の概要 |
人が触れる乾燥面や空間の温度を調節することで、その表面に固着したあるいは空気中に浮遊する薬剤耐性菌の生存性を制限し、その伝播拡散を阻止することで感染リストは低減できるはずである。しかし、建造環境の温度変化が微生物の動態に及ぼす影響に関わる実態把握の研究は、理論化や実装化には至っていない。本研究は、病院内の高頻度接触面と公共環境(地下歩行空間など)の微生物メタゲノム解析や微生物検査により、温度が微生物叢の動態に与える影響を、継続的に可視化し評価・解析すると供に数理モデル化することで、消毒剤や抗菌剤に頼らずに温度調節による新たな病原体制御理論の創成し、温度制御を介した感染防止策へと応用を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、消毒剤や抗菌剤に頼らない温度による新たな病原体制御理論を創成し温度制御による感染防止策へと応用を目指すために多角的な側面から研究を行った。その結果、以下の研究成果を得た(最終年度の研究成果は6~10)。
1. 空間中に浮遊する生細菌を効率良く収集するための3Dプリンター自作エアーサンプラーを確立した。2. 乾燥面での病原細菌の生存性を規定する因子の探索を行い大腸菌のNa+/H+トランスポーターnhaA遺伝子が乾燥耐性に重要であることを発見した。3. nhaA遺伝子を破壊すると菌体が伸長するので、乾燥抵抗性が菌体長の変化に依存していることを明らかにした。4. 乾燥表面の人肌加温による大腸菌の生存性低下が高湿度環境でより顕著になることを見いだした。5. 自作温度制御手摺デバイス上での細菌の生存性のLIVE/DEAD蛍光染色を用いた可視化定量法を開発した。6. 北大農場にて実施した調査で環境因子(気圧、蒸気圧、湿度、風向き)が連動し変化することにより、土壌細菌が空気中に巻き上げられ浮遊し移動することを明らかにした。7. 札幌地下歩行空間のデータを数理モデルGml2を用いて再解析を行い浮遊菌数の変化が複合的に結びついた様々な環境因子(温度、湿度、気圧、通行人数)に依存していることが明らかになった。8. 市販されている加温便座には、病原細菌の定着を激減させる働きがあることを明らかにした。9. 雪中の細菌数は流動人口密度の増加とともに高まり、菌叢の多様性は減少することを発見した。10. 安心安全な公共環境を構築するために手すりメーカーと共同研究契約を締結し、人肌加温デバイス製品の開発に道筋をつけた。
このように当初の目標をほぼ達成し、人肌温度制御による新たな病原体制御理論を創成するための基礎部分の構築すること成功した。
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