研究課題/領域番号 |
20K20615
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川上 浩司 京都大学, 医学研究科, 教授 (70422318)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 母子保健 / 学校保健 / 乳幼児健診 / 疫学研究 / 公衆衛生 / 学校健診 / 電子カルテ / PHR / ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
数年で破棄されてきた妊婦健診情報、乳幼児健診情報、学校健診情報をデジタル化し保管閲覧を可能にすると共に、これまで繋げられることのなかった妊婦健診情報、乳幼児健診情報と学校健診情報を連接し、胎内から中学3年生までの15年間を追跡することができる匿名データベースを構築する。さらにスマートフォンを用いた保護者の個別同意のもと、子どもの健診情報に医療機関の電子カルテ情報を連接することで、病気が発症した例の詳細情報と発症前の継続的な健康情報を含む、より精緻なデータベースを構築する。構築したデータベースを用いて、胎児期や乳幼児期の環境や因子が、成長発達や発病などの健康状態に及ぼす影響を疫学的に解明する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、2017年から2021 年度の体格情報が取得できた44自治体の中学3年生119,963人の学校健診情報を分析し、COVID-19による活動制限が生徒の肥満等に与えた影響を検討した。村田式肥満度を用いて+20%以上を肥満、-20% 以下をやせと定義し、地域の感染状況として2020年4月の緊急事態宣言発出の有無のほか、e-Statより得た国勢調査に基づく市町村別人口密度を用いて、肥満・やせの割合の経年変化との関連を検討した。結果として、2020年において全国的に肥満の生徒が増加しており、人口密度が高い地域の都市部で2020年の肥満の生徒の増加が顕著であった。また男女別の分析より、特に男子において、同年に肥満とやせが有意に増加しており、女子よりも休校や活動制限の影響をより受けやすい可能性があった。また、子どもの健康情報の結果分析レポートを還元することの受診者本人及び保護者の健康改善へ向けた意識や行動の変容効果の測定、および、健康情報の活用に関する賛否と活用にあたっての懸念点に関する調査については、その設問設計のため、文献調査を実施した。各国におけるPHRの運用が具体化した2010年以降における文献を対象とし、約130の先行研究が抽出された。日本におけるデータの利活用に関する賛否については、回答者の社会的属性との関係を明らかにしようとする日本語文献はあるものの、属性と利活用の賛否におけるクロス集計を用いた分析にとどまっており、各年齢階層におけるインターネット利用状況や健康に対する意識といった交絡因子を考慮した設計とはなっていない。これらの文献調査から、個人情報への感度と健康情報の利活用に関する賛否を射程に収めて、国勢調査における比率を利用して、性別・年代・地域における回答数を割り付けたインターネットサーベイを令和5年度において実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に運用を開始した乳幼児健診にかかるPHRアプリの改修がすすみ、また、疫学研究や調査研究の準備も進行している。
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今後の研究の推進方策 |
調査研究については、 COVID-19の影響もあり、全国各地の自治体や教育委員会を通じた活動は制限もあるため、パネル調査を通じた研究としてまとめていく予定である。母子保健と学校健診の情報を連接した研究は、新規テーマの開拓も踏まえて進行していく。
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