研究課題/領域番号 |
20K20618
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
森 雅紀 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (10771868)
|
研究分担者 |
山口 崇 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (10725394)
田村 恵子 京都大学, 医学研究科, 教授 (30730197)
山口 拓洋 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50313101)
木澤 義之 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (80289181)
宮下 光令 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90301142)
田上 恵太 東北大学, 医学系研究科, 講師 (50813458)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
23,270千円 (直接経費: 17,900千円、間接経費: 5,370千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
|
キーワード | AI / 緩和ケア / 終末期の苦痛 / 緩和ケアAIプログラム |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢多死社会を迎えた日本では、緩和ケアを全国に普及させる画期的な手段の開発が求められる。 本研究では、多くの終末期患者の苦痛を緩和するAIプログラムの開発と検証を試みる。前半2年間で緩和ケア専門家と同等の診療支援を行うAIプログラムを開発する。多施設の緩和ケアチームの診療データを教師データとして用いる。後半3年間で多施設の終末期患者と遺族を対象に、AIプログラムが苦痛緩和と生活の質(QOL)向上に繋がることを比較試験で検証し、メカニズムを解明する。 以上により、専門家の養成を待たずして全国で質の高い症状緩和を実現する、汎用性のある緩和ケアモデルを開発する。
|
研究実績の概要 |
超高齢多死社会を迎えた日本では、緩和ケアを全国に普及させる画期的な手段の開発が求められる。本研究では、多くの終末期患者の苦痛を緩和するAIプログラムを開発する。 令和3年度までは、文献レビューやAI研究に関わる研究者との情報共有を通じて、緩和ケアへのAIの活用に関する現状把握を行った。終末期患者の苦痛として、痛みと呼吸困難を主な対象とすることを検討した。 令和3年度は、痛みに対する専門的緩和ケアのデータをAI開発のパイロットとして取得した(424人、計1498日分のデータを収集)。入力用のデータとして、登録時情報から得られる変数(74種類)と毎日記載の調査票から得られる変数(AIデータ含め35種類)を用いた。出力用のデータとして行うべき緩和ケアの推奨リストを取得した(16種類)。ランダムフォレスト、勾配ブースティング回帰木、ロジスティック回帰による多クラス分類、ニューラルネットワークの手法を用いて、インプットからアウトプットの予測精度を確認した。その結果、各出力データの出現頻度は概ね低く手法を問わず予測精度は大差ないこと、比較的頻度が高い項目が本試験での出力データの候補になるという見通しをつけた(定時オピオイドの増量など)。 令和4年度は、痛み・呼吸困難に関する入力・出力データを確定させ、研究計画書と調査票の案を作成した。29の緩和ケア施設に声をかけ、対面やオンラインのKick off会議を複数回行った。その結果、エンドユーザーにとってより詳細なアウトプットが必要と考えられた。また、同時期にChat GPTなどの生成AIが開発され、専門的な推奨まではいかないものの本研究班と類似した推奨を出せることが明らかになった。以上より、現行のまま患者登録を開始するのではなく、エンドユーザーのニーズを把握し、適切なアウトプットを同定し、AI研究のシーズを見直すこととした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多施設研究の立ち上げにあたり、研究計画書と調査票を作成したが、Kick off会議においてエンドユーザーにとってより重要なアウトプットを再考する必要性が指摘された。また、国際的な生成AIの開発により本研究班と類似した推奨を出せることが明らかになった。以上より、現行のインプット・アウトプットデータで研究を進めるのではなく、専門的緩和ケアの推奨を行うニーズや求められるアウトプットの同定、医療におけるAI研究のシーズを見直すこととしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、緩和ケアを専門としない医療者や患者などエンドユーザーとなりうる対象者のニーズを調査し、臨床現場ではどのようなアウトプットが求められるかを検討する。 同時に、身体症状やACP(心残りを減らすケアを含める)等、専門的緩和ケアの推奨を行うAIを開発するために、医療におけるAI研究のシーズを見直す。 具体的には、どのような介入がどのようなアウトカムに繋がるのかを検討し、症状や治療・ケアを含む通常診療のデータを自動的かつ経時的に収集する方策を模索する。
|