研究課題/領域番号 |
20K20619
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 崇 筑波大学, 体育系, 助教 (80725549)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2023年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2022年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ロコモーション / エクササイズ / 脳 / 視床下部 / 乳酸 / 脳グリコーゲン / エネルギー代謝 / 持久性能力 / 運動 / 進化 / 断続運動 / 認知機能 |
研究開始時の研究の概要 |
動物の移動運動(ロコモーション)は種を超えて断続的である。しかしながら、断続運動が定常運動よりもエネルギー効率が高いかどうかは生理学的に全く検証されておらず、身心の機能に及ぼす効果も不明であることから、トレーニングや運動処方にも適用されていない。本研究では、動物の進化に基づく断続運動モデルを開発し、断続運動のエネルギー効率と身心の機能に及ぼす有益な効果を先端神経生理学手法で動物からヒトまでトランスレーショナルに解明する「進化運動生理学」の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
アスリートや健康を目指す人々には、ある強度を一定時間持続する定常運動が主に推奨される。これは、運動生理学が人工的な運動条件により、身心の機能向上や生活習慣病の予防・改善に資する運動効果を解明してきた成果である。一方、大空を飛翔する鳥類、大海を遊泳する魚類、ホイールで走行する齧歯類、先を急ぐヒトなど、動物の移動運動(ロコモーション)は種を超えて断続的である本研究は、ロコモーションの進化に基づく断続運動モデルを開発し、そのエネルギー効率と身心の機能に及ぼす有益な効果を解明することを目指す。 4年計画の3年目である令和4年度は、実験計画に従い、実験3を実施した。実験3では、小動物用トレッドミル型代謝チャンバーを用いて、令和2年度に実験1および2で開発した、エネルギー効率の高い断続運動形態の脳内メカニズムを検討するため、安静、またはレーン長の異なるトレッドミル走運時の脳内エネルギー代謝を検討した。 その結果、断続走時の脳内においてグリコーゲン量が減りにくいこと、また、全身のエネルギー代謝中枢である視床下部の乳酸上昇が抑えられることも確認した。これらは、実験2で確認した運動時の呼吸交換費の低下を説明する神経機構としてリーズナブルなものといえる。次に、運動時の視床下部における脳内乳酸受容体の役割を作動薬投与により検討したところ、乳酸受容体の作動は運動時の呼吸交換費を上昇させることをはじめて確認した。 これらの結果は、進化に基づく断続型運動は、脳内の乳酸上昇とそのシグナル伝達を抑えることで、全身の脂質代謝を優先的に促進することで疲労の発生を遅らせることができる運動形態であることを示している。今後更に詳細な解析を進め、学会発表や論文誌筆を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験1では、予定通り、断続運動の実験モデルの作成に成功した。また、実験2においても、断続走のポジティブ効果を運動持続時間とエネルギー代謝の両面から確認することができ、実験3でもその機構の一端を説明することができた。これらは当初の予定に合致することから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、断続運動の抗疲労効果の神経メカニズムについて、全身や脳のエネルギー代謝のみならず、脳内神経伝達物質の動態を加えて更に詳細な検討を進める。さらに、ヒトでの断続運動の効果に関する検討も試みる。
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