研究課題/領域番号 |
20K20625
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小川 瑞史 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40362024)
|
研究分担者 |
NGUYEN MinhLe 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (30509401)
寺内 多智弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70447150)
関 浩之 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (80196948)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
|
キーワード | 動的記号実行 / 命令セット / バイナリコード / マルウェア / 自然言語処理 / マルウェア解析 / 記号実行 / API / ネィティブコード / マルウェア意味解析 / 形式的意味自動抽出 / 形式仕様自動抽出 / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
人間には解釈困難なバイナリコードに対し(1)操作的意味はレジスタ・フラッグ・メモリ・スタック上の状態遷移系として定義可能、(2)各命令仕様はリジッドな自然言語記述、(3)エミュレータ等テスト環境が完備などの観察に立脚し、英文マニュアルから命令の操作的意味自動抽出によりBE-PUM(x86), Corana(ARM), SiMIPS(MIPS)等のツールをGitHubで公開してきた。 本研究は、多数のMPU/MCUの動的記号実行器の自動生成に加え、構造隠蔽前のペイロードの自動復元・抽出を行い、教師無し学習による特徴抽出、自然言語処理を用いた意味解釈を通じた新規感染手法検出・系統樹生成を目的とする。
|
研究実績の概要 |
R4年度は、主にARM/Androidを対象とした動的記号実行器Coranaの拡張Corana-Xの実装・開発を進めた。Androidマルウェアは主にApkファイル形式であり、Javaに準ずる記述に加え native code (ARM, x86等)やLinuxライブラリ関数呼出しを含むため、実行が複数の異環境にわたる。本研究では、JavaはSymbolic Path Finder (NASAが開発)、ARMはCorana、Linux関数呼出しについてはOS環境下で実行するAPI stub(ともに本グループで実装)を組み合わせApkファイルの記号実行を行う。異環境下の記号実行の連携には、コード実行と同様な環境の転送が必要となる。しかしデータは単に32bitや64bitの値であるほか、メモリアドレスのセルやバッファを指す場合など、それぞれを区別し必要に応じてポインターをたどる必要がある。それには引数の型情報が必要であり、コードやマニュアルの記述から自動抽出する。現在、実世界Androidマルウェアの記号実行が可能となり、Drebin dataset(5560個)において実験を行っている。 その他の研究項目は、命令セットマニュアルからの自然言語処理による意味抽出における解釈規則導出(分担者 Nguyen Minh Leと共同)、隠蔽手法を用いるPCマルウェア(x86/win) の記号実行結果に対する機械学習によるOEP(original entry point)検出の検討を進めている。 分担者による研究項目として、悪意あるコード生成手法(Dos攻撃)に正規表現を用いた新たな手法を提案した(分担者 寺内多智弘)。またマルウェア解析への機械学習の応用を視野に入れた言語学習理論として,決定性上昇型ノミナル木オートマトンのアクティブ学習アルゴリズムを提案した(分担者 関浩之)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソフトウェア工学的に中心的な課題である動的記号実行器の実装は順調に進んでいる。特に過去のx86(32bit)/WindowsのBE-PUMに加え、ARM(32bit)/Android(linux)をターゲットとするCorana-Xの実装のプロトタイプが完成している。これは実世界マルウェアによる実験環境が基本的に整ったことを意味し、今後、目的とするマルウェア手法(隠蔽手法、感染手法、攻撃手法)の理解を機械学習等の統計的手法と組み合わせて進めることが可能となった。 また、現在のOEP(original entry point)検出は、過去に行った隠蔽手法の利用頻度情報に基づくパッカー同定(2017年発表)の再検討、および、分担者(関浩之)の進めている決定性上昇型ノミナル木オートマトンのアクティブ学習アルゴリズムに基づく言語学習理論の応用を検討している。 また分担者(寺内多智弘)の進めたDoS攻撃の正規表現に基づく新手法は攻撃手法の新展開であり、今後、感染手法の理解を進める上で参考とする。
|
今後の研究の推進方策 |
ソフトウェア工学的に中心的な課題である動的記号実行器の実装は順調に進んでいる。今後、x86 (32bit), ARM (32bit) で確立した手法を一般化し、他の命令セット(64bit含む)に対しても命令セットマニュアルの自然言語処理に基づき動的記号実行器を自動生成手法を確立する。 マルウェア手法(隠蔽手法、感染手法、攻撃手法)の理解については、隠蔽手法については一定の確立を既に得ているが、OEP検出を通じてパッカー手法を明らかにしていく。感染手法については、OEPから始まるマルウェアのペイロード解析、およびVulnarability report(cve.mitre.org等)の自然言語処理から vulnarability とその攻撃コードの関係の抽出をめざす。攻撃手法については、主に分担者が進める。
|