研究課題/領域番号 |
20K20633
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中山 翔太 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (90647629)
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研究分担者 |
藤森 崇 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (20583248)
中田 北斗 北海道大学, 獣医学研究院, 博士研究員 (60815273)
銅谷 理緒 北海道大学, 獣医学研究院, 学術研究員 (00934415)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,350千円 (直接経費: 19,500千円、間接経費: 5,850千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2020年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | 金属耐性機構 / 動物種差 / 毒性発現 / XAFS解析 / エピジェネティクス解析 / 野生動物 / カブウェ鉱床 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、ヒトの鉛の警告濃度である5μg/dLに対して、トカゲで最大値 1875 μg/dL(警告濃度の375倍)、野生ラットで最大値 592 μg/dL(警告濃度の約120倍)という高濃度の鉛が検出されたにも関わらず、血液・臓器毒性などを示さない耐性個体群を見出した。本研究の目的は、高精度XAFS解析を多階層の動物種に応用し、これまで全く報告のない動物種普遍の共通の金属耐性メカニズムを解明することである。この1つの新規生命現象を解明できれば、生物の進化や生理学、生態学に対する新たな研究分野や発展に貢献できる。
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研究成果の概要 |
高濃度の鉛に暴露されても毒性影響が顕在化しない陸生動物におけるメカニズム解明のため、鉛や硫黄の化学形態解析に注目して、大型放射光施設のXAFS解析を環境毒性学分野において応用し成果を挙げた。野生のラット、トカゲ、ニワトリ、イヌにおける肝臓、腎臓、心臓、脳、肺、脾臓、筋肉、胃・小腸・大腸の内容物、および糞便における鉛形態の違いや、消化器系や体内へ吸収された際の鉛化学形態の変化に関する精緻な知見を初めて得た。チオール基と結合した鉛と類似したスペクトルを示し、肝臓が重金属の解毒/排出機構においてグルタチオン等の分子を介して重要な役割を果たすことを反映していると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
鉛の高濃度蓄積による毒性影響が発現しない個体における耐性機構解明のために、スペクトルに結合元素や酸化状態ごとに違いが現れやすい硫黄にも着目して解析を行うことで、微細な構造に着目する必要のある鉛のスペクトル解析から得られた暴露経路の推定を補強できることが明らかになった。この手法は他の動物種や地域の研究でも応用可能であり、世界規模で問題となっている金属汚染における汚染経路解明の新たな手法としての応用が期待される。
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