研究課題/領域番号 |
20K20644
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60432639)
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研究分担者 |
金川 基 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (00448044)
片野坂 公明 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (50335006)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 心臓 / TRPV2 / 心筋細胞 / 介在板 / メカニカルストレス / 機能的成熟 / メカノトランスダクション / 心肥大 / GCaMP6s / 血行動態負荷 / 心不全 / メカノセンサー / シグナル / 可視化 |
研究開始時の研究の概要 |
マウスの生体内において、心臓の介在板のTRPV2から入力するメカニカルシグナルを可視化することを目指して、生体でのカルシウムシグナルを可視化する遺伝子改変マウスを作成する。作成した遺伝子改変マウスを用いて、生理条件下の心筋細胞の介在板付近のカルシウムシグナルをモニターする。また、血行動態負荷により引き起こされる細胞のリモデリング(変容)に、TRPV2を介した入力するメカニカルシグナルを利用しているという実験的証拠を得る。
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研究実績の概要 |
心不全とは心臓のポンプ機能が低下して、抹消臓器に充分な血液を送れない状態である。わが国では75歳以上の約50%が心不全患者である。発症後の5年生存率も悪く、決定的な治療法が無い。心不全に至る原因や過程は一様ではないが、唯一、高血圧などのメカニカルストレスは共通の引き金である。このため、メカノセンサーを介した心不全発症機構の解明による画期的治療法の確立が期待されている。これまでの我々の研究から、心臓のメカノセンサーの分子実体はTRPV2であり、心臓の形や機能の維持にはTRPV2を介したCa2+シグナルが必須であることが明らかとなってきた。しかしながら、拍動している心臓において、『メカノセンサーを介したCa2+シグナルが心筋細胞のどの部位で生じて』、『血行動態変化に伴ってシグナルがどのように変化するのか』については全く明らかになっていない。本研究では、拍動している心臓においてTRPV2を介したCa2+シグナルを可視化し、心筋細胞内の機械受容機構(メカノトランスダクション)の起点と、その分子基盤を解明する。 本年度は、心筋細胞にGCamp6を発現するTRPV2cKOマウスが完成した。コントロールGCamp6マウスの心臓組織切片を用いて、介在板部位にGCamp6シグナルが観察されることを確認したため、現在は、TRPV2発現の有無によって、このシグナル強度が変化するか検討している。また、このマウスの新生児より、培養心筋細胞を単離し、心拍に伴って介在板部位の蛍光強度が変化するか検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的の遺伝子改変マウスが作製できたことから、順調に計画が進んでいると言える。また、細胞レベルの実験に関しては、様々な条件下で蛍光強度の変化を確認しており、条件設定が整ったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けて、心筋細胞にGCamp6を発現するTRPV2cKOマウスを用いて、収縮期および弛緩期の介在板のCa濃度変化を解析する。これまでの準備実験において、拍動中の心臓の蛍光強度の変化を定量的に解析することは極めて難しいことが予測された。しかし、収縮状態および弛緩状態を模倣した心臓サンプルを作製して、介在板の蛍光強度を解析することは可能ではないかと考えている。来年度は、代表研究者の異動を予定しているため、動物実験の再開までにどの程度の時間を要するか予測できない点が難点である。しかしながら、心臓組織切片や培養心筋細胞の実験を早期に再開し、研究目的に沿った成果を目指す予定である。
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