研究課題/領域番号 |
20K20647
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
高度科学技術社会の新局面
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中嶋 豊 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90513036)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ヒト-機械インタラクション / 自動運転 / インタラクション / 自動化システム / 操作感 / 感情 / 応用心理学 / 実験心理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ヒトが自動化システムと行なう何らかのやり取り(会話に代表されるインタラクション)が,システムを使用する時にプラスに働く効果を期待している.このインタラクションを自動運転レベル2(車両の縦横方向の制御は自動化されているが,周辺監視や安全への責任はドライバが請け負うレベル)にて実施し,インタラクションにより生じる「運転操作感への快感情」の生起要因を見出し,安全対策へ適用すること目指す.本研究の成果は,自動運転に限らずヒトを介する自動化技術全般に対して適用できる可能性を持つ.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,自動運転レベル2において,ドライバの周辺監視を阻害せず定常的に覚醒度を維持する方法として,ヒトと自動運転システムとのインタラクションに着目し,インタラクションにより生じる「運転操作感への快感情」を安全対策へ適用することである. 令和5年度においては,令和3年度に続き,令和4年度に実施した自動運転車両との会話(インタラクション)の効果についてヒューマン情報処理研究会(2023年9月)にて発表を行なった.具体的には,自動運転車両の挙動を決定するために,車両からの問いかけにドライバがボタン押しによる判断を行なう場面を設定し,その回数を操作した.その際,インタラクション対象の明示性も合わせて操作するため,ディスプレイ表示の付いたスピーカをドライバの左前方に設置し,その画面に,アニメキャラクタ風の顔,単一光を提示する条件と,統制条件として何も提示しない条件を設定した.実験の結果,顔画像を提示することで,会話感覚やシステムへの親近感が向上することが示され,インタラクションの対象を明示することが自動運転の受容に寄与する可能性を示した.一方,インタラクションの回数の影響は見られなかった.さらに,インタラクションを実施しなかった条件の方が自動運転走行へ眠気を感じにくい傾向が見られた.この点について,自由記述中の単語の出現頻度を分析したところ,インタラクションを実施した条件では「自動」の出現頻度は「運転」の出現頻度の半分未満であったことに対し,インタラクションを実施しなかった条件では「自動」と「運転」の出現頻度は同程度であった.このことはインタラクションを実施しないことで「自動運転」であることへの注意が促進し,自分自身との運転との差分が強調されることによって,それが覚醒度の維持に寄与する可能性が考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に引き続き自動運転と運転操作感の関係,自動化システムに対するヒトの捉え方についての検討を行ない,2023年度には,運転に対する参加者の態度が,自動運転への評価に影響を及ぼす可能性を見出した(自動運転の継続利用意志とシステムの評価の関係に相関関係が見られる可能性).この点は運転操作感に対する感情を検討する上でも重要な観点となりうることから,現在,予備的検討を進めている段階である.ただし未だ対外的な発表をできる段階にはないことから,早期に研究成果発表の準備を進める.
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況においても述べた,参加者の運転に対する事前態度の影響は,今後自動運転に対するドライバ評価のバイアスと位置付けられる.こうした事前態度による評価の標準化を行なうことで,運転操作感と感情および自動運転への評価の精度が向上することが見込まれる.今後は,より直接的に運動操作感へ影響を与える要因を操作した実験を実施する予定である.さらに,学内外の研究者との情報交換も行ない,より精緻化した実験計画により検討を進めていく.
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