研究課題/領域番号 |
20K20662
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
超高齢社会研究
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
三明 淳一朗 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40372677)
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研究分担者 |
白吉 安昭 鳥取大学, 医学部, 准教授 (90249946)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 細胞老化 / セノセラピー / SASP / 健康寿命 / 老化 / 老化関連分泌現象 |
研究開始時の研究の概要 |
老化細胞は,炎症や発がん促進作用などの種々の生理活性物質を分泌する細胞老化関連分泌形質(SASP)を生じることが知られている。しかし、非分裂状態にある有糸分裂後体細胞であるヒト心筋細胞から分泌されるSASP因子については全く不明である。本研究は、申請者らが開発した再生医療技術を利用して、(1)老化ヒト心筋細胞の未知のSASP因子の特定、(2)特定されたSASP因子の心筋肥大化、心筋線維化、血管形成能に対する生理作用の解明、(3)SASP因子の誘導機序の解明を目的とした挑戦的研究である。
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研究実績の概要 |
一昨年度までの研究実績において、我々は老化ヒト心筋細胞由来のSenescence Associated Secretory Phenotype (SASP)因子についての研究を行いました。DNA障害、代謝性ストレス、酸化ストレスを与えた老化関連βガラクトシダーゼ染色陽性の老化ヒト心筋細胞から、可溶性細胞接着因子の遺伝子発現レベルとタンパク質分泌レベルが増加することを同定し、NFkBシグナルの活性化が必要であることが明らかになりました。また、NFkBシグナルの活性化と可溶性細胞接着因子の分泌レベルに対して抑制的に働く因子が解明され、その因子の遺伝子内に存在し、同定した可溶性接着因子を標的するmiRNAが解明されつつあります。 昨年度の研究では、一昨年度の研究実績に基づいて、老化ヒト心筋細胞由来のSASP因子についての機能解明を進めました。その結果、我々は新たに「老化細胞はinnate immuneシステムのeat-meシグナルを抑制するSASPを分泌することで、老化細胞の生存に有利となり蓄積することで個体老化が促進される可能性が解明されつつある」という研究結果を得ました。これは、老化細胞がeat-meシグナルを抑制することで免疫系による排除を回避し、生存に有利となり蓄積することで、個体老化が促進される可能性があることを示唆しています。 このように、老化ヒト心筋細胞から分泌されるSASP因子の機能がより明らかになりました。これらの研究成果は、老化関連疾患の治療や予防につながる重要な知見となると考えられます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、研究の進行に遅れが生じている状況です。その理由として、SASPの機能解析のための老化心筋細胞とinnate immune系細胞の共培養系の確立に難渋していることが挙げられます。この共培養系の確立は、予想以上に時間を要することが判明し、現在も試行錯誤を続けています。 また、コロナ禍の影響もあり、実験の進行に遅れが生じています。実験室の制約やアクセス制限、人員配置の調整など、コロナ禍による制約が研究に大きな影響を与えています。実験の計画や進行において、安全対策や社会的な制約を考慮する必要があり、これが研究の遅れにつながっています。
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今後の研究の推進方策 |
我々は老化ヒト心筋細胞由来のSASP因子についての研究を進め、さらには老化細胞がeat-meシグナルを抑制することで個体老化が促進される可能性があることを解明しています。今後も、老化関連疾患の発症・進行のメカニズム解明を進めるために、さらなる研究を行っていく予定です。 共培養系の確立や必要な実験材料の入手、研究者間のコミュニケーション強化などに取り組み、研究の進行を加速させるための努力を続けてまいります。 コロナ禍の影響で実験の進行が遅れていることは事実ですが、今後の実験進行のためには、実験条件を最適化することが必要です。具体的には、実験室内の感染予防対策を徹底し、実験機器や試薬の確保を適切に行っていく予定です。
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