研究課題/領域番号 |
20K20677
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
前島 美保 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (40436697)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 歌舞伎音楽 / 音楽演出 / 囃子方 / 台帳 / 附帳 / 人形浄瑠璃 / 歌舞伎囃子 / 黒御簾音楽 / 付帳 |
研究開始時の研究の概要 |
歌舞伎の音楽は、多種多様な楽器を用いるなど、能や人形浄瑠璃等先行・周辺芸能に比べてリアルで写実的な音楽(音)表現に特徴がある。ところが従来の歌舞伎音楽研究では、歴史的にどのような過程を経てこうした歌舞伎らしい音楽表現を獲得していったのかということへの明確な説明が十分になされてこなかった。そこで本研究では、江戸中後期から近代にかけての歌舞伎関係諸史料を総合的かつ丹念に精読・分析しながら、写実的な音楽表現の生成と展開について実証的に明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、江戸中後期から近代にかけての歌舞伎関係諸史料を精読・分析しながら、使用楽器の変遷と作品研究を通して、歌舞伎の写実的な音楽表現の生成と展開を実証的に明らかにすることを目的としている。研究三年目の本年は、主に以下の三方面から研究を進めた。 (1)刊行されている江戸中後期の歌舞伎台帳(台本)から、音楽演出を抽出する作業を継続して行った。次年度はこれらのデータの整理・分析に力を注ぐ。 (2)国立劇場に所蔵されている小川弥三郎(1878~1944)旧蔵史料のうち音楽関連史料(附帳(キッカケ帳)、唄本)について調査し、楽劇学会大会にて発表した。上演年代等の考証の結果、本史料からは人形浄瑠璃囃子方で一時歌舞伎にも出演していたという上方の囃子方らしい足跡と、近代の人形浄瑠璃の囃子の様子、そして近代上方歌舞伎の音楽演出の一端を見出すことができた(「国立劇場蔵小川弥三郎旧蔵史料について」)。 (3)音楽演出にかかわる作品研究の一つとして、これまで立分れの嚆矢と見なされてきた天保十一年(1840)「勧進帳」の初演以前や再演時の史料にあたり、江戸期の立分れ演出について再考した(「立分れ考」)。「勧進帳」初演以前にも立分れに相当する例が見られること、また初演以降も江戸期を通じて四度の再演があったがいずれも立分れであったと考えられること、等を指摘した。 なお、次年度の最終年度は(1)を重点的に進め、本研究の当初の見通しを踏まえて総括を試みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍収束の兆しは見えたものの、依然として時間をかけた史料調査や出張等の計画が立てにくい状態が続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は出張による史料調査等を積極的に進める。また、できるだけ対面による学会や研究会等にも参加し意見交換を諮るなど、研究推進に一層努めたい。
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