研究課題/領域番号 |
20K20680
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
菅原 裕文 金沢大学, 人文学系, 准教授 (40537875)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 西洋美術史 / ビザンティン美術史 / カッパドキア / 岩窟聖堂 / 写真測量法 / 3D / RTI / 編年構築 / 西洋中世美術史 / ビザンティン建築史 / デジタル・ドキュメンテーション / キリスト教図像学 / ゲームエンジン / キリスト教美術 |
研究開始時の研究の概要 |
西洋中世以前の壁画制作の実態は、それを記した文字史料を欠くため謎であった。ゆえに壁画の編年は、これまで絵画様式による年代比定に基づき、その精度には限界があった。 本研究では、カッパドキアのキリスト教岩窟聖堂を事例に、最新のデジタル・ドキュメンテーション(写真測量法・RTI)を援用することにより、石工の鑿痕・左官の刷毛跡をも個人様式と再定義し、絵画様式による年代比定に基づく編年の精緻化を目指す。
|
研究成果の概要 |
岩窟を掘削して描く壁画制作は「石工→左官→画家」の工程を経るのは自明だが、西洋中世(15C)以前の壁画制作の実態は謎である。彼らの活動を記す文字史料がないためである。そこで本研究では最新のデジタル・ドキュメンテーション技術を援用し、視認・記録も困難だった石工の鑿痕・左官の刷毛跡・画家の筆触のパターンと組み合わせを分析した。その結果、カッパドキアの職能集団の時間・空間的な活動範囲が概ね特定でき、これまで絵画様式に基づく50年単位の編年が、職工のライフサイクルも検討して25年から30年単位で精緻化できた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、デジタル技術を効果的に援用することで石工の鑿痕や左官の刷毛跡をも「個人様式」と再定義し、古典的な絵画様式による分析・分類を多角的・複眼的・科学的に補強したことにある。石工や左官をも射程に入れて壁画を総括的に捉える本研究の編年構築法は、世界各地の壁画研究に応用でき、美術史・技法史・建築史・考古学・文化財科学を学際的に融合させた好例である。美術史の資料写真はアド・ホックで汎用性に乏しかった。対してカメラとパソコンさえあれば構築可能な写真測量法やRTIは構築しさえすれば使途は無限であり、本研究により新しい美術史研究のあり方が示された。
|