研究課題/領域番号 |
20K20684
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
長谷 千代子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20450207)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 菜食主義 / 仏教 / 中国 / 日本 / 台湾 / 倫理 / 環境主義 / 宗教文化 / アニミズム / 健康 / 積徳 / 道徳 / 宗教 |
研究開始時の研究の概要 |
現代アジアに広まる菜食実践の実態を調査し、その背後にある多様な思想の系譜を明らかにし、現在進行形で人々が編み出しつつある新たな道徳がなにを目指しているかについて考察する。本研究では、現代アジアにおける菜食実践の広がり、その背景にある仏教や動物愛護、アニミズムなどの思想状況、菜食実践者の動機や思想、それらの動向が社会に与える影響について調査・考察する。具体的には、文献研究によって基本的情報を収集しながら、菜食実践者らのライフヒストリーを収集・分析する。その調査結果をもとに、菜食産業の経済学・農学・生態学との学際研究の可能性を探りつつ、実践的な道徳研究の方向性を確立する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、現代アジアにおける菜食実践の広まり方、その背景にある伝統的思想の影響、今後新たに形成されうる普遍的道徳のあり方、それが社会を変革する可能性等について考察することであった。菜食実践の広まりとその背景思想については、主に文献・言説調査によって、古代から現在に至る流れを把握し、特に1990年代以降、欧米のヴィーガニズムとその背景をなす環境保護・動物愛護思想、台湾のいくつかの仏教集団による影響があることを確認した。今後の動向としては、環境保護や動物愛護のために禁欲的に肉食を控えるのではなく、おいしいものを食べたいという欲求と菜食実践を両立させようとする傾向が強いことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では菜食主義自体が学術的にまとまった形で論じられること自体が少なく、特にその東洋的伝統の概要をまとめたことに基礎研究的な意義があると考える。さらに世俗社会に対する宗教の影響力を菜食実践の広まりという具体例に基づいて実証的に論じることにおいても、先駆的な役割を果たせたと思う。食の問題は健康・食糧危機・農業および畜産業などさまざまな方面で重視されている問題であり、それを倫理・宗教・道徳といった観点で論じることで、社会におけるこの問題の議論に長期的視野と一つの方向性を示すことができる点に意義があると考える。
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