研究課題/領域番号 |
20K20695
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
宮城 信 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (20534134)
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研究分担者 |
小磯 花絵 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 教授 (30312200)
居關 友里子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (70780500)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 児童作文 / 幼稚園児 / 園児の話し合い活動 / 映像付きコーパス / 園児の相互交渉方略 / 園児の合意形成 / 園児の言語発達 / 幼児の言語発達 / 幼児の話し合い活動 / 幼児の言語コーパス / 幼児の合意形成 / 教師の介入 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、年中・年長の園児の話合い場面の記録を通し、コーパスを活用しながら、幼児の話し合い活動における合意形成の過程と相互交渉方略および教師の介入についての包括的な研究を行う。 ■ 言語発達教育への応用への期待 現在、幼少連携や中高連携の必要性が高まっている。本研究の探求課題では、言語運用能力の発達を通して、複眼的な観点で幼児期から児童期への連続的な社会性の発達解明を目指す。 ■ 教師による介入効果の検証 本研究のデータにおいても教師による複数の介入が見られ、合意形成の過程から、その目的や効果を検証する。教師の経験則の可視化を目標とした探索的研究である。 以上の成果を現場に発信していく。
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研究実績の概要 |
本研究は、幼稚園児を対象として、小集団での話し合い活動を中心に画像付きデータを収集して、言語コーパスを構築し、それに基づく園児らのコミュニケーション方略の研究を行う。研究の観点は、(1)話し合い活動を通して、園児ら個人内での意見の変化の可視化、(2)園児同士が合意形成に至るまで方略の解明、(3)園児らの話し合いに指導者の教員がどのように介入するのかの実態と効果の3点から研究を進める。現在共有できているデータからは、コーパス全体の構築に関わる研究と(2)につながる相互交流の研究に関する成果が得られた。現状話し合い活動による合意形成のデータが利用可能な十分量に達していないため、早急に資料の整備が必要になっている。 2022年度の成果としては、シンポジウムなどで調査状況に関する情報共有がなされたことも付言しておく。話し合い活動の合意形成に着目した研究ではあるが、園生活という少し特殊な環境での話し合い活動は、参加した園児らに積極的に話し合いに参加することを促すなど、状況の面から少し制約があると考えられる。その点で言えば完全な日常会話とは異なる点も指摘しておく。一方で、決められた時間内で合意に到達できるよう、参加者の園児らの士気も高く、話し合いの方略を捉える適正なデータであることも確認された。典型的な方略をもつ話し合い以外にも「ごっこ遊び」のようなこの発達段階特有の交流法についての予備的考察を行い、2023年度の発展的研究の準備を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、幼稚園での話し合い活動の調査をもとに言語コーパスを構築することに第一の目的がある。協力園と連絡を密に取って調査を進めていたが、コロナ禍で園の行事の多くが順延となったことで、それに付随する集団活動や話し合い活動が中止になったこと、また2022年に協力園の園舎が耐震改修工事に入ってしまい後期の調査が順延になったことの2点が調査上の問題となった。結果として、新規の収録結果(2021年からの順延課題)が十分に消化できたとは言えない状況にある。2022年の研究期間は収集済みのデータの文字起こしとアノテーションを中心に進めていた。2022年度の探求課題が十分に消化できていないので、研究期間の延長を申請し、認められた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長した。遅延の課題については順次消化して2023年度中には解消される見通しである。話し合い活動の調査が遅延してるが、園舎の耐震改修も終了し、2023年の新学から集団活動も再開されつつある。強力園と折衝して夏前を目処に調査を再開する予定を組んだ。これまでのノウハウもあるので、園や園児の負担を軽減できるような収録法の検討も必要となる。 本年度は新規の調査は進められなかったが、昨年までに収集したいくらかのデータをもとに試作データを構築した(試作データをもとにいくつかの学会発表、論文が公開された)。本年度は、新データの供給を待ちつつ、既存のデータを利用して個別に研究を進めていく。
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