研究課題/領域番号 |
20K20698
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡島 昭浩 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (50194345)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 速記 / 速記符号 / 速記文字 / 反訳 / 整文 / 速記方式 / 日本語音の用法 / 速記術 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、速記原本の解読は、速記を行った当人によってのみ行われることであった。速記原本を目にしても、どの速記方式によるかの認定法などは考えられてこなかった。それを認定する方法を確立し、解読に繋げようというのが本研究である。 歴史的価値のある速記原本が存在しても、速記から年月が経過し、さらに 速記者当人が亡くなると解読は困難となるが、不可能ではないことが示せれば、貴重な資料である速記原本の死蔵・廃棄を抑止する効果がある。 また、速記原本や速記教本類を系統的に収集整理することは、いわば速記のロゼッタストーンを残すことになるものであり、しかも、それ自体に解読の鍵を含ませたものともなるのである。
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研究実績の概要 |
コロナ禍による、図書館・文庫の訪問制限、速記に関わっていた人物への聞き取り調査、対面での研究会などが困難な中、出来ることを行ってきた。 国会図書館デジタルコレクションの個人送信が始まり、従来は容易に見ることが出来なかった速記資料が、簡単に閲覧出来るようになったことを受けて、コロナ禍による制限で、図書館・文庫の訪問が困難であった状況に応じて、文献調査の対象を、国会図書館デジタルコレクションで見ることができるものと、古書で入手出来るものとにして、調査を行っている。 速記原本からの解読には、速記者一人一人の情報が必要であるとの観点から、日本速記協会がこれまでに出してきた速記者名簿に基づき、そのデータベース化を図るとともに、講談速記本・落語速記本に限らない速記録資料から、速記者名を抜き出し、索引を作るべく、整理している。講談・落語速記などで有名な速記者だけではない速記者の情報が必要となるからである。速記者のデータベース化にあたっては、日本速記協会の名簿には、その人の使っている速記方式が書かれているので、その情報を打ち込み、速記方式と在住地や職業との関係も分かるものにしようとしている。 研究報告書の発行。11名の著者による、9の論・報告・資料で、341ページになる大部の報告書となった。また、入手資料のうち、著作権法上などの問題のないものは、ネット上に公開するなどしているし、速記に関するさまざまな人名・書名・方式名・術語についても、解説することに努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度においても、長くコロナ禍の影響が続いており、図書館・文庫など、資料を見に行って調査することに大きな制限が掛かったままであった。 一方、国会図書館デジタルコレクションにおける個人送信の仕組みが出来たことにより、まずは、これにより、国会図書館に蔵されている速記法関連の書籍を調査することになったが、この作業が、予想以上に大きな作業量を伴うものであった。従来、報告されていた書誌事項と、国会図書館に蔵されている資料の書誌が合致しないものが屡々見られたことなどによるものである。 速記符号の弁別的特徴から見た記述も、予想より困難であることが分かり、進行が遅れている。 特任研究員の適任者を見つけることが出来なかったのも、進行が遅れた進行が遅れた理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による資料閲覧制限も解けてきたことであり、今年度中に、図書館・文庫の訪問調査を、可能な範囲で行いたい。 また、国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能な資料についての書誌記述を行い、速記方式の記述も勧めたい。入手出来た資料についても、既知の資料との相違点などを記述して、今後の研究に役立つようにしておき、著作権法上などの問題のないことを確認したら、ネット上に公開して行きたい。 速記者名簿や速記録から抽出している速記者データベースも、拡充を図りたい。 なお、この研究のまとめとして、三冊目の論集・資料集を刊行するほか、研究会を公開で行うことを計画している。
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