研究課題/領域番号 |
20K20712
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
青山 和夫 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (70292464)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | マヤ文明の起源 / 手工業生産 / 技術 / 物質文化 / 交換 / アグアダ・フェニックス遺跡 / マヤ文明 / 石器 / 戦争 / 生業 / セイバル遺跡 / 先土器時代 / 農耕定住 / 農耕 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の学術的「問い」は、先土器時代からどのようにマヤ文明が発展したのか、その起源・形成プロセスを明らかにすることである。2017年にセイバル遺跡周辺部のアモチ・グループの試掘調査を実施したところ、グアテマラで初めて先土器時代のマヤ低地人の人骨を検出した。そこでアモチ・グループの大規模な新発掘調査を実施し、先土器時代のさらなる人骨、遺構や様々な遺物の検出・分析を通して、これまでよくわかっていない同時代のマヤ低地人の文化実践、技術と物質文化がどのように先古典期中期初頭(前1000年頃)の土器の製作・使用及び神殿ピラミッドや公共広場の建造につながっていったのかというミッシンク・リンクを検証する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、先土器時代からマヤ文明がどのように発展したのか、その起源と形成プロセスを実証的に明らかにすることである。38,141点の出土石器を分析し、蛍光X線分析によって、大部分の黒曜石がグアテマラ高地から搬入されたことが明らかになった。アグアダ・フェニックス遺跡には、先古典期中期前半(前1000~前700年)にグアテマラ高地エル・チャヤル産黒曜石製石刃石核が搬入され、押圧石刃が製作されたことがわかった。これは、グアテマラのセイバル遺跡と共にマヤ低地で最古の押圧石刃の製作の証拠である。一方でパホナル遺跡は、グアテマラ高地産黒曜石とメキシコ高地産黒曜石の遠距離交換網の境界線の近くに立地した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
石器研究の成果は、建造物の配置パターン、土器や石彫様式などと共に、メソアメリカ文明の起源がオルメカ文明にあるという「オルメカ文明=メソアメリカの母なる文明」に基づき、マヤ文明がオルメカ文明の一方的な影響によって興ったとする従来の学説を覆す実証的な証拠を提供し、より複雑な社会変化の過程を示唆する。先古典期中期のウスマシンタ川中流域のマヤ人は、オルメカ地域よりも、グアテマラのマヤ高地産の黒曜石の遠距離交換網に積極的に参加した。マヤ文明黎明期の指導者たちは、遠距離交換を通して、黒曜石や翡翠のような重要な物資、観念体系や美術・建築様式などの知識を取捨選択しながら、マヤ文明を築き上げていったのである。
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