研究課題/領域番号 |
20K20724
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
佐藤 正志 静岡大学, 教育学部, 准教授 (00599912)
|
研究分担者 |
瀬川 直樹 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (80883248)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 旧産業地域(OIA) / 地域政策 / 製紙業 / 経路依存性 / セルロースナノファイバー / 産業集積 / 地域的ネットワーク / 旧産業地域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、①地域的ネットワークを介した産学官での研究開発を通じた新産業化、②新産業化に対する政策的支援の実証を通じて、衰退する産業集積再生を進める上での地域的な取り組みの意義と、政策的支援のあり方を展望することを目的とする。対象として、需要減少が進みながら、新たな素材として注目されるセルロースナノファイバーの実用化に取り組む、製紙業の産業集積を取り上げる。本研究では、特に①製紙業にかかる統計類からの産業集積の動向、②企業や研究機関、地方自治体への聞き取りやアンケート、刊行情報の入手といった方法を通じて、研究開発と実用化に向けた地域的ネットワークの構築や政策的支援のあり方を検討する。
|
研究実績の概要 |
本年度については、①富士市を中心とした政策的支援の取組みとその実施の成果に関する検討、②CNF開発に関する研究教育機関と実際の企業活動とのマッチングに関する実証、③進化経済地理学を中心とした研究動向と製紙業を中心とした産業集積への応用、の観点について実施した。 ①②は、富士市産業支援課への政策的支援に関するこの数年程度の新規取組みについて、財政的支援の状況やその成果に関する聞き取り調査ならびに、製紙関連セミナーの懇話会への参加を通じて、大学の研究者による開発の体制と産業集積内の企業における利用の移行に関する意識の差異についての解明を進めた。この中で、現実に政策的支援に関しては、富士市や産業支援機関を中心とした金銭的・技術的支援の拡充を進めつつある状況にあり、特に製紙関連でのCNF実用化において重点化を進めていた。一方で、カーボンニュートラルへの貢献を含めたCNF関連の大学や研究機関の開発動向と、現実の製紙業者での製品の実用化においては一部の業者を除き積極的な姿勢がみられないなど、開発と実用化における齟齬が生じていることが示された。 ③については、特に欧米の進化経済地理学分野を中心とした、経路創造(経路破壊)といった概念の中で、制度的・経済的・認知的ロックインだけではなくその主体に関する議論が取り入れられている点についての概念の導入を検討した。こうした主体について、CNF開発における産業集積内の技術開発の実用化における鍵となる役割を検証する必要性が指摘できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、富士市の産業政策課との連携の下で、調査先企業のリスト化および聞取りの実施を年度内に実施することで、まとめを行う予定であった。しかし、相互の期間調整等がうまく折り合いがつかなかったため、実施を次年度に行うこととした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、①富士市内の企業への聞取り調査を中心とした、CNFを中心とした製品開発への転換とその困難さに関する検証、②製紙業におけるセルロース研究開発の地理的偏在性の検証、を中心とした実証研究を継続する。①については、富士市産業支援課との調整および助言を受けた上で、聞取り調査先企業を選定し、(1)企業における製品や取引先の変化、(2)企業におけるCNFの開発の動向とその理由、(3)研究開発への投資の実態とその困難さ、といった観点から検討を進めていく。②については、紙パ技協誌に掲載されている特許技術の開発状況をベースにして、製紙業関連のナノファイバーの研究開発に関する地域的偏在に関して検討を進める。 これらとともに、③欧米での旧産業地域の研究や、進化経済地理学での経路創造の議論と合わせて、その転換の困難さとその克服に向けた各主体の役割について検討していく。
|