研究課題/領域番号 |
20K20730
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古賀 信也 九州大学, 農学研究院, 教授 (20215213)
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研究分担者 |
内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 伝統的木材利用 / 木材基本性質 / 木材組織 / 木材物理 / 地域循環共生圏 / 生物多様性 / 木材民俗学 / 宮崎県椎葉村 / 木材性質 / 民俗知 |
研究開始時の研究の概要 |
国内各地で長年伝承されてきた木材選択に関する民俗知は急速に失われつつあるが,一方で,今後,SDGsへの取組が求められるなど生物多様性や生態系サービスの発揮の観点から地域の多様な生物資源を持続的に循環する「地域循環共生圏」の構築が必要である. 本研究では,環境条件と人と森林との係りの歴史的背景が異なる4地域を対象に,伝統的利用樹種の用途と特性を民俗植物学的に評価し,その諸特性を木材学の観点から評価し,伝統的木材利用の民俗知に自然科学的妥当性を付与する.この人文科学的調査と自然科学的実験の結果を統合し,地域の環境特性と多様な樹種,伝統文化を内包する「民俗木材利用学」という新たな学問分野を開拓する.
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研究成果の概要 |
生物多様性を基盤とした「地域循環共生圏」の構築にむけた基礎研究として,自然環境条件と人と森林との係りの歴史的背景が異なる3地域(北海道足寄町,宮崎県椎葉村,福岡県篠栗町・久山町)を対象に伝統的利用樹種の用途とその特性を調査したうえで,それらの樹種の木材の諸特性を解剖学・物理学・力学的に評価した.新型コロナ等の影響もあり,得られたデータの質・量ともに十分とは言えない状況ではあるが,伝統的木材利用に関する情報と文献・試験により得られた木材の密度などのいくつかの木材性質の指標との間に高い相関があることが示された.また,その関係性は地域の自然環境条件や社会条件によって異なる可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
かつて国内各地では,生活圏に近い場所に生育する多種・多様な樹木を用途に応じて経験的に使い分けしてきたが,他材料への転換や木材の工業材料化にともない,これまで継承されてきた伝統的な樹種選択や利用方法に関わる民俗知は消失の危機にある.他方,生物多様性の保全や生態系サービスの発揮の観点から今後地域に存在する生物資源を持続的に循環利用する「地域循環共生圏」の構築が求められている.本研究で得られた研究成果はこれらの課題に応える知見のひとつとして貢献できると考える.
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