研究課題/領域番号 |
20K20732
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
斉藤 美加 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90235078)
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研究分担者 |
小林 潤 琉球大学, 医学部, 教授 (70225514)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 感染症 / マラリア / 歴史 / 伝承 / 地域科学 / レジリエンス / 平和教育 / 八重山 / 蚊媒介性感染症 / 感染症対策 / シチズンサイエンス / 伝承知 / 強制力 / 順応的管理 / 行動変容 / 平和構築 / トップダウン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではマラリア撲滅の成功の鍵(トップダウンとボトムアップの融合)を握ったのはシチズンサイエンスの力であったという仮説を検証する。①米軍、八重山の保健行政、住民の社会学的調査をおこない、なぜ、諦めから撲滅を信じて積極的に協力するコミュニティ行動変容がおきたか。なぜ敵国のトップダウン型は反発を乗り越え、信頼を勝ち得たか「シチズンサイエンス」を軸に探求する。②現代フィールドで「シチズンサイエンス」実践による仮説の実証を行う。③八重山マラリア撲滅経験から地球規模マラリア根絶、外部支援のモデルを提示する。この事例研究が、平和構築のモデル提示および普遍的なロジックへ発展する可能性を探索する。
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研究実績の概要 |
本研究ではマラリア撲滅の成功の鍵を握ったのはサイエンスの力であったという仮説を検証するため、聞き取り調査、文献調査、データ解析、ワークショップによる実践を行う。 1.<自助・互助・共助・公助とサイエンスの役割> Covid-19において注目を浴びた言葉に「自助・互助・共助・公助」がある。自助・互助・共助・公助の定義から捉え直し、八重山のマラリア史において、それらがどのように働いたのか、働かなかったのか、各時代で分析した。特に、IV期~V期における、マラリア対策への住民協力において、沖縄独特の互助が果たした役割を分析した。 2.<医療行政システムとサイエンス> 八重山マラリアの対策に特化したシステムのなりたちから、ゼロマラリア達成までの軌跡を追う。 戦前から戦後の八重山行政の変化に伴い、名称は変わるが、八重山地区にはマラリア対策を専門的に行う組織が存在した。また、出張所が石垣島の僻地と離島に開設され、職員はそれぞれの地域でマラリア対策を行った。このシステムの果たした役割を分析した。 3.<史実の実証―現代に生かす>現在、Covidー19パンデミックに象徴される感染症の時代にあり、感染症対策が成功した史実を現代に伝えることの意義は大きい。2022年、ゼロマラリアから60周年を記念し、石碑や説明板の設置をおこなった。高等学校での平和学習や、八重山のマラリアの歴史の絵本の刊行と配布を行った。JICA感染症研修員とマラリア体験者、マラリア対策体験者との意見交換会、資料作りと講義において、八重山のマラリアの歴史を世界で感染症と戦う幹部に伝えた。この地域の歴史から現代と世界に生かす教訓を、シチズンサイエンスの視点から得ることは可能かを考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼロマラリア達成から60年の節目で石碑と説明板を建立することができ、史実の実証、史実を現代に生かし、世界に広めるために大きく貢献できた。また、八重山のマラリアの歴史をまとめた絵本を出版できた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度より感染症の人間学(新学術領域B)に参加し、八重山のマラリアの歴史の研究を続ける。また、地域の感染症の歴史が世界に届けるべき教訓を論文化する。地域の自然と暮らしに感染症の歴史がどうかかわり、文化を作り上げてきたかを検討したい。
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