研究課題/領域番号 |
20K20747
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小浜 祥子 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 准教授 (90595670)
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研究分担者 |
西 平等 関西大学, 法学部, 教授 (60323656)
前田 亮介 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (00735748)
三船 恒裕 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (00708050)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 人質 / シナリオ実験 / 戦時国際法 / 国際政治 / 信頼 / 集団間関係 / 人質をとる行為に関する国際条約 / コミットメント / 国際法 / 実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、近世から近代にかけ、合意の保証メカニズムとしての人質制度が衰退した理由を、歴史的な実態の解明および社会心理学実験の手法を用いて解明する。このような衰退が、西欧・アジアで広く観察されることをふまえ、歴史上の偶発的な出来事にとどまらない、構造的な変容として理論化を試みる。初年度は、近世・近代の国際法学者による人質に関する議論および日本の参勤交代制度の動揺の事例を検討し仮説の探索を行う。二年目は、この仮説を社会心理学の知見に基づき精緻化し実験による検証を行う。最終年度は、実証結果の理論・歴史叙述へのフィードバックと成果のまとめに取り組む。
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研究実績の概要 |
当初の計画において、最終年度は仮説の実証結果をふまえた理論の再検討を行う予定となっていた。具体的には令和5年度4月にシナリオ実験をインターネット上で実施し、その分析結果をプロジェクト・メンバー全員に共有した上で、理論や仮説の再検討および実験室実験の可能性について意見交換を行うこととしていた。 この計画に従い、4月にオンラインのサーベイ実験を実施した。この実験の目的は「人質」による合意保証について、経済学で言われるような「義務不履行の際に犠牲になる財の供出」によって合意が保障されているのか、人的なつながりによって何らかの信頼関係が構築されることによって合意が保障されやすくなるのかについて検証することであった。そこで集団間の紛争と停戦合意に関する架空のシナリオを提示し、合意保証の在り方についての情報を被験者に無作為に一つ選んで割り当て、それを読んでもらった後、全ての回答者に敵対集団のコミットメントや敵対集団への信頼に関する共通質問に回答してもらった。そして共通質問に対する回答者の回答を比較することにより、各回答者が直前に読んだ情報の効果を測定した。調査では約400件の回答を回収した。 これらの回答を小濵と三船で分析し、その結果を5月の北海道大学でのミーティングで共有し、有意義なフィードバックと追加実験に関するアイディアを得た。その後、研究の中段期間を挟み9月中旬に研究を再開した。研究再開後、一年間の研究期間延長を申請し受理された。 11月に研究再開にかかるミーティングを実施し、今後の研究計画について確認するとともに、昨年度のシナリオ実験から得られた知見を仮説へとフィードバックし、再度シナリオ実験を行う方向で検討を行った。また本研究課題の成果発表のため日本政治学会へパネルを応募することついて合意をみた。その後、小濵と三船を中心に、追加実験に向けた検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画において、研究期間の初年度(令和2年度)は西欧および日本の人質に関する事例調査、第二年度(令和3年度)は事例調査をふまえて仮説の構築と検証、最終年度(令和4年度)は実証結果をふまえた理論の再検討を行う予定であった。令和3後半から令和4年度前半まで、令和5年度中盤の二度にわたって研究を中断し、それぞれ一年の研究期間の延長を行ったため、研究計画を後ろ倒しにした。 よって、令和5年度初頭は、シナリオ実験をインターネット上で実施し、その分析結果をプロジェクト・メンバー全員に共有した上で、理論や仮説の再検討および実験室実験の可能性について意見交換を行うこととしていた。これについては予定通り4月にシナリオ実験を実施し、分析結果を5月のミーティングで報告することができた。 しかし、実験結果が仮説とは必ずしも合致しなかったため、それらを理論へとフィードバックし仮説の再検討と追加の実験が必要となった。年度中の研究中断を挟み、研究再開後の計画としては年度内に二度目のシナリオ実験を行い、分析結果の分析と事例研究へのフィードバックを行うこと、第一回目のシナリオ実験について小濵と三船を中心に論文を執筆し投稿を目指すことを予定していた。そこで11月のミーティングにおいて仮説の再検討と追加実験のアイディアを検討した。それを基に小濵と三船が中心となって実験案の策定を行ったが、さまざまな検討事項が生じたことから年度内の実験実施は叶わなかった。これは令和6年度初頭に実施する方向で準備を進めている。 また研究成果の発表については、実験結果の分析・解釈にさらなる時間が必要となったことから論文の執筆・投稿には至らなかったものの、令和6年度日本政治学会研究大会で成果を報告するためのパネル申請を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画において、令和5年度(最終年度)は仮説の実証結果をふまえた理論の再検討を行う予定となっていた。この計画に沿って、令和6年度初頭に追加のシナリオ実験をインターネット上で実施し、その分析を行う。その分析結果を全体に共有した上で、理論や仮説の再検討を行う。また秋の学会報告にむけて各自が論文を執筆し、全体ミーティングで意見交換を実施する。学会で得られたフィードバックをふまえ各自の研究をさらに発展させ、研究課題全体の成果について取りまとめる。
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