研究課題/領域番号 |
20K20755
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小沢 浩 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (40303581)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 財務諸表 / パターン認識 / 財務諸表分析 / MTシステム / 財務データ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、財務諸表の数値や経営分析の指標は、業種ごとに違いがあって単純には比較できないと言われています。もし、そうであれば、逆に、財務諸表を見れば、その企業の業種や戦略が判別できるかもしれません。しかし、そのような試みはこれまで行われてきませんでした。そこで、財務諸表の数値から、業種や戦略などの企業の定性的な属性を読み取る方法を開発しようというのが本研究の目的です。そのために、MTシステムという、品質工学で用いられるパターン認識の技法を使います。まずは、財務諸表から、その企業の業種を特定する方法に挑戦します。その後、戦略や経営健全性なども判定できるように発展させます。
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研究実績の概要 |
本研究は、MTシステムのうちのRT法とよばれるパターン認識の技術を使って、公開財務諸表の数値から、企業の定性的な性質、例えば、企業の属する業種、戦略的ポジション、財務的健全性などを判定することに挑戦する研究である。その最初の段階として業種の識別に挑戦している。これまでに、自動車、商社、製鉄、電力、医薬品、製紙、百貨店、家電などの業種の識別を試みた。そして、流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益の各項目を、(総資本+収益)に対する比率で規準化すること、1966年から1977年のデータを単位空間とすることで、識別力が高くなることを発見してきた。ただし、同じ業種であっても、年度の経過とともに財務データのパターンが変わってしまうために、時間に対する頑健性に問題があった。そこで、今年度は、この問題を解決することに注力した。そして、百貨店と電力が時間の経過に対して頑健であることを突き止め、百貨店を単位空間として、百貨店との比較で業種を識別することを試みた。その結果、商社、百貨店、電力、私鉄、造船、カメラの業種に関して、1966-1974年においては、ほぼ完全に識別できた。1976-1984年、1996-2004年、1986-1994年と時代を下るにつれて識別力が低下するものの、商社、電力、私鉄の3業種については、識別力が維持されている。今後は、造船、カメラ、百貨店の識別力を高める方法を模索する。また、同時に、造船、カメラといった製造業が百貨店の財務パターンに近づいている現象が観察されるため、これを事実の発見として受け止め、こうした現象の背景を解明してみたいとも考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の核心は、試行錯誤を繰り返して探索的に、識別力を高める単位空間を発見したり、前処理の方法を発見したりすることにある。その意味で、狙い通りの結果がでるか否かは、私自身の洞察力、試行錯誤の回数にかかっているといえる。これまでに考えつく様々なアプローチを試みてみたが、良い結果が得られていない。また、試行錯誤するためのアイデアがなくなりつつあり、ペースが鈍っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、2つのことを考えている。一つは、試行錯誤するためのアイデアがなくなりつつあることから、単純な試行錯誤をやめて、MTシステムの別の手法(T法(1))で、時間の経過に対して頑健な財務数値を選別することを試みてみたい。もう一つは、これまで業種の識別が可能という前提で、識別方法を探索してきたが、時間を下るにつれて識別が困難になっている事実の背景を調査してみたい。識別不能となる現象を、識別技術の欠陥と考えるのではなく、識別技術によって新たな事実が発見されたと位置づけることができれば、本研究の価値を訴求することができる。具体的には、製造業の財務パターンが小売業に近づいていることは、製造業の設備投資戦略や在庫政策の変化など、製造業の実態の変化を反映している可能性がある。
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