研究課題/領域番号 |
20K20770
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
瀧 博 立命館大学, 経営学部, 教授 (20292138)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 不正リスク / 不正シナリオ / 監査 / 会計上の見積り / 行為分解木 / オントロジー工学 / 不正リスク仮説 / 知識モデル / デジタル・トランスフォーメーション / リモート監査 / デジタル監査 / AQI / 不正会計事例のデータベース / 財務諸表監査 / オントロジー / 粉飾決算 / 監査の質 |
研究開始時の研究の概要 |
上場企業等の大企業が公表する財務諸表には、会計と監査に関する高度な知見を有する公認会計士によって監査が行われる。大企業の財務諸表であるため、リスク・アプローチを始め、通常の監査とは異なる高度な手法が採用されており、近年では、アナリティクス、AIなども利用されている。しかしながら、これらの手法は、統計的手法をベースとしており、必ずしも具体的な不正の形態への対応をベースとするアプローチではない。本研究では、オントロジー工学を監査に援用し、膨大な監査手続を整理するとともに、これらの手続について暗黙とされる不正の形態を明らかにする。また、その効果を検証するため学生を被験者とする実験を実施する。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、当初、監査基準報告書240、315、330の知識モデルの構築、学生を被験者とする実験研究を課題としていた。すでに2021年度までで、監査基準報告書540「会計上の見積りの監査」の一部について、行為分解木を用いたモデルが構築されていたこともあり、本学情報理工学部の來村教授とそのゼミ生との共同研究として、固定資産の減損に関する行為モデルの構築を行った。固定資産の減損は、財務諸表に対する影響が大きく、ビッグバスを避ける会計として財務会計分野でも重視されているが、回収可能額の測定に将来キャッシュ・フローの見積りを伴うため、主観性が高く、恣意性の混入の危険があり、監査上も、重要な虚偽表示リスクの生じやすい項目としても認識されている。実際、監査報告書における「監査上の主要な検討事項」いわゆるKAMにおいても記載事例が最も多い。 本研究の課題は、会計上の不正リスク仮説の生成であるが、こうした仮説生成には、そのベースとなる会計基準や監査基準(実務指針を含む)への適切な理解と行為モデルの設定が欠かせない。また、もともと会計システムについては、REA(Resources-Events-Agent)会計モデルがあるが、他方、監査については適当なモデルが構築されていないこともある。そこで、重要な虚偽表示リスクの高い会計上の見積り領域として固定資産の減損を選択し、会計基準と監査基準のモデル化を図った。このような基本的な行為モデルの作成には成功しており、この成果は、2023年6月の人工知能学会で報告を行う。 なお、本研究で構築したモデルの有効性については、2022年度には実施できなったため、その検証は、2023年度に行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
近年のコロナ禍のため、日常の授業準備等に時間をとられ、十分な研究時間を確保することが難しかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、研究時間を確保して、最終的な検証を進めるため、学会活動は最小限に留めている。最終年度として、監査基準報告書の要求事項と適用指針・付録の分類方法を再検討すること、また、本研究のテーマである会計不正について、その行為モデルを構築することである。また、これらの行為モデルの有効性を検証するため、監査法人に対するアンケート調査または学生に対する実証実験を実施する予定である。
|