研究課題/領域番号 |
20K20781
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
山地 久美子 神戸大学, 地域連携推進本部, 特命准教授 (20441420)
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研究分担者 |
伊藤 康人 大阪公立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (20285315)
北後 明彦 神戸大学, 都市安全研究センター, 名誉教授 (30304124)
山崎 栄一 関西大学, 社会安全学部, 教授 (00352360)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 準公営住宅 / 災害公営住宅 / 社会保障と住宅政策 / 被災者支援 / 国際比較研究/ニュージーランド/カンタベリー地震 / 阪神・淡路大震災/東日本大震災/熊本地震 / 首都直下地震/南海トラフ巨大地震 / 災害と個人情報 / 国際比較研究 / ニュージーランド/カンタベリー地震 / 社会保障 / 住宅政策 / 国際比較 / 被災者支援レジーム / 阪神・淡路大震災/東日本大震災/カンタベリー地震 |
研究開始時の研究の概要 |
首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の大規模災害の発生に備え、本研究は準公営住宅(民間賃貸住宅・空き家の新活用含)の実現可能性に向けて、日本、ニュージーランド等の災害後の賃貸恒久住宅移行の実態と課題を国際的な視点から比較検討する。その知見から、民間活用の準公営住宅を大規模災害時に生じる大量の被災者の居住安定の確保を迅速かつ柔軟にはかる制度へつなげることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本科研は社会学、建築学、法学など学際的なアプローチで、災害後の被災者への住宅供給と平時住宅政策の国際比較研究を柱とし、日本とニュージーランドにおける準公営住宅(民間賃貸住宅・空き家の新活用含)中でも災害発生時の被災者への実現可能性について調査している。 年度末の2024年3月にニュージーランド・カンタベリー大学との3年越しの国際共同調査を実施でき研究・考察を深めた。 日本においては各研究者が調査を進め、その上で共同研究会を開催し、各分野の専門家から知見を得て、情報・意見交換を行った。東日本大震災で確立した借上型応急仮設住宅について、当時の運用の困難さと課題と今後起こり得る大規模災害にどのように備えるかを議論した。また、阪神・淡路大震災、東日本大震災後に設けられた災害公営住宅における、孤独死の実態について比較検討した。 ニュージーランド調査は新型コロナの影響で延期されていたが、2024年3月のカンタベリー大学研究者、現地の協力者を得て実現した。日本と異なる不動産事情、住宅再建のスキーム理解の重要性、平時からの住宅確保困難者へのソフトとハードの支援、災害時の被災者への個別的支援のあり方について調査、意見交換を行い、日本の新たな仕組みを考える上で有益な示唆を得た。 また、被災当事者の声を調査研究に組み込む仕組みの一つとして「全国被災地語り部シンポジウムin東北」を開催し、被災された方々から13年経つ被災地で必要な社会経済的エンパワーメント、社会的制度に対する意見を直接聞く機会を得た。 研究代表者は阪神・淡路大震災の被災地の声・語り部の現状に関する調査を継続して実施し、1月17日前後にNHK全国、大阪放送局・神戸放送局で特集として放送され、サンテレビの特集番組でも取り上げられた。中日新聞など、多数のメディアによって詳細が全国に報道されたことで、本テーマを社会で広く考える機会に繋がっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度も年度初めまで新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の影響により国際比較調査での制約があったが、5月からの新型コロナウイルスの5類移行とニュージーランド・カンタベリー大学研究者、現地の協力者を得て研究調査を実施、進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は日本国内の被災地・東日本大震災、熊本地震とともに、1月1日に起こった能登半島地震の復興施策の状況も検討し、国外においてはニュージーランド・カンタベリー大学との共同調査をオンラインで継続実施する。 早期生活再建の後押しとしての災害公営住宅の供給は災害直後から長期的なスパンで考察する。東日本大震災被災地では災害公営住宅の空室の課題がありその対策としての災害公営住宅供給の制度設計について調査する。 本研究を相対化し深めるため、地域コミュニティの視点から東日本大震災被災地で13年間被災者のサポートを続けている研究者、阪神・淡路大震災と東日本大震災の、熊本地震災害公営住宅の比較考察を行い、まとめの研究会を開催する。 また、被災者支援における住宅の支援制度と実態の乖離を埋める方策の一つとして被災者の声を防災・減災施策の中に取入れる必要性から災害の語り継ぎについても継続して検討を進める。個人の体験を集め、検討して政策に反映する重要性は日本のみならずニュージーランド・カンタベリー地震でも指摘されており、災害時、災害後の記録をどのように残し、分析するかについても意見交換、調査を進める。 日本とニュージーランドの調査研究を通じて、社会保障としての住宅支援と自然災害時後の住宅支援を比較し、研究の総括として準公営住宅の平時の住宅政策へ繋げる仕組みを検討し、成果をまとめる。
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