研究課題/領域番号 |
20K20782
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
樫田 美雄 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (10282295)
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研究分担者 |
岡田 光弘 成城大学, 文芸学部, 非常勤講師 (30619771)
榊原 賢二郎 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障基礎理論研究部, 第4室長 (90803370)
石島 健太郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (70806364)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 障害学 / エスノメソドロジー・会話分析 / 人権社会学 / 当事者研究 / ユーザーイノベーション / 失語症 / 脳卒中 / 介助 / 見た目問題 / パラリンピック / オリンピック / 障害者スポーツ / エスノメソドロジー / デューズベリ / バーデュ / 軽度障害 / 現象学 / 円形脱毛症 / 障害社会学 / 社会モデル / インペアメント / リフレキシビティ |
研究開始時の研究の概要 |
障害学の「社会モデル」は、「損傷(インペアメント)」の存在を疑わずに、障害者の生きづらさを「障害(ディサビリティ)」にのみ帰責してきたが、バトラーの議論を踏まえるのならば、「損傷」の前提性は当然に疑わしい。したがって,榊原賢二郎編『障害社会学という視座』(新曜社)の総論において榊原が主張したように「再帰性(reflexivity)」を十全に踏まえた障害社会学が必要である.そしてこの新しい経験科学を発展させていくのには,エスノメソドロジーが有用であろう.そうやって、アイロニカルでない社会学の可能性を探る。まず初年度は,文献読解/発表型の研究会を頻回行う。次に,2年目以降には,データ分析を行う.
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研究実績の概要 |
2022年度も、コロナ感染の影響があり、対面による本格的調査や研究会の開催はできなかったが、研究代表者および研究分担者は、各自のできる範囲で、「障害社会学の方法論としてのエスノメソドロジー」の可能性を追求した。 まず、研究代表者である樫田は、ブレーンアタック(脳出血)で半身麻痺及び発話障害を負った社会学者の療養宅を訪問し、その「発声無き生活」がいかに社会学的でかつイノベーティブなものであるのかに関して、療養者家族と対話した。その成果は、『現象と秩序』誌の17号(2022年10月刊)に「社会学者、ブレーンアタックに遭遇‐新たな知への開眼‐」として掲載された。 ついで、榊原賢二郎(分担研究者)は、当事者研究に引き寄せた視点から、主として文献学的研究を進め、「障害者の自己記述と当事者研究」を第95回日本社会学会大会(2022年11月12日、口演)にて発表した。 また、石島健太郎(分担研究者)は、療養者理解において、医学的知識を参照することが、ケアワーカーに取って諸刃の剣であること(ケア促進的に働く事もあれば、ケア抑制的に働く事もある)に注目し、その困難に現場でどのような対処がなされているか、を、当事者的・現場処理的様相を詳細に描くやり方で論じた。研究発表としては、「『全部割り切ってしまうと仕事できなくなってしまうので』‐障害者介助における医学的知識の参照とその困難」という口頭発表を第95回日本社会学会大会(2022年11月12日、口演)にて行い、英文誌への投稿もした。 研究分担者の岡田光弘は、文献学的研究を進め発表準備中である。 なお、対面の研究会は開催できなかったが、オンラインの研究会を開催し、神戸学院大学の岡﨑宏樹先生に「『バタイユからの社会学』の議論をもとに」という講演をして頂いた上で全員で充実した議論等を行った。2023年度には、総括的研究を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対面コミュニケーションの研究会が開催できず、長時間の対面コミュニケーションを前提とした参与観察的調査もできず(短時間の観察と対話は行った)、出入国手続きの困難から、国際学会にも参加ができなかった。それらのことを原因として、基本的には研究者各個人による文献的調査(および、過去データの再解析)しかできなかった。それでも、電子メールでの交流、およびズームコミュニケーションによっていくつかの業績をだすことはできたが、十分な研究の進捗は計れなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、コロナ感染の状況が改善すると思われるため、本研究の遅れを取り返すことが可能であろう。ただし、もし、2023年度においても、コロナ感染の持続的影響で予定どおりの事業が遂行できなくなった場合は、オンラインコミュニケーションの研究会を高度化した形で行って、その難局を乗り越えて行きたい。
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