研究課題/領域番号 |
20K20790
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
奥村 信幸 武蔵大学, 社会学部, 教授 (00411140)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ジャーナリズム / 災害報道 / ニュース / リスクコミュニケーション / テレビ / ラジオ / スマートフォン / DX / 防災報道 / データ / 避難情報 / 安心 / デジタル / デジタルストーリーテリング / データジャーナリズム / マルチメディア |
研究開始時の研究の概要 |
デジタル時代の「近未来の災害報道モデル」と「実現へのロードマップ」提示を目指す。災害時には「ローカルでミクロな情報」が必要で、公共リソースが適正に使われているか「権力監視」機能の強化も重要である。研究では「災害時にメディアが伝えるべき情報」の定義を試み、実現のための3課題を整理する。1)テキストや写真などにデジタル・ストーリーテリングを加えたスキル、2)各種データやソーシャルメディア情報を収集、オンデマンドで伝える技術、3)行政の目が届かないアクセスが容易でない場所を伝えるリスク取材の体制である。あいまいにしか議論されてこなかったジャーナリズムの目的について、災害報道を入り口に再考も行いたい。
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研究実績の概要 |
デジタル時代の災害報道の具体的なイメージを形成する作業を優先的に進めた。災害時にやりとりされる情報、ほとんど全てが「データ」の形でやりとりできるとして約100項目を抽出、ほとんどが市町村や民間レベルの情報であることを明らかにした。まとめを、社会情報学会(2022年9月 於仙台)、日本メディア学会(11月 オンライン)のワークショップ主催という形で成果発表した。 今後、地方自治体やNPOなどの情報をいかに集約するかという、規格の統一や地方のDXの問題も合わせて検討することが不可欠であると理解し、総務省や地方自治体のオープンデータ化などに取り組む武蔵大学社会学部の庄司昌彦教授にも協力を仰ぎ、上記の2ワークショップは庄司氏との共同開催という形をとった。 2学会では、テーマは共通のタイトルで提示したものの、重点を違うものとして展開した。社会情報学会では、今までのメディアが取り上げられなかった避難サバイバルに必要な情報などを、市町村や民間企業やNPOはどのような形で認識しているかという「情報のありか」や、データの規格を統一するための課題など、災害時の「情報のエコシステム」の全体を意識して考えた。 一方、日本メディア学会では、災害「報道」をになってきたテレビ、ラジオ、新聞という伝統的なメディアの災害時のジャーナリズムがどのように変容するかを中心に議論した。ラジオの重要性は不変だが、テレビや新聞は、発災から時間が経過するにつれて、ミクロなユーザーの関心をカバーできなくなるという意味で「傍観者のジャーナリズム」とも言うべきジレンマを抱える構造になっており、災害時の情報サービスと公共のリソースが公平に分配されているという権力の監視機能をどのように両立させるかを中心にフロアと意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナの影響が残り、代表者も1回の海外出張で帰国時に感染したため、それ以上の海外調査を断念した。アメリカやイギリスの公共アラートシステムや、災害時の情報サービスと、ニュースや報道の区別をどう考えるかという調査が十分とはいえない。
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今後の研究の推進方策 |
米ミズーリ-州コロンビア市の災害アラートシステムと、地元メディアの災害報道時の役割分担について、行政郡側と同市にキャンパスがあるミズーリ-大学コミュニケーション大学院/ジャーナリズム大学院とを調査する予定である。この調査を通じて、スマホに必要な情報が届く世の中で、新聞やテレビに与えられたジャーナリズム的な任務とは何か、改めて考察を行う予定である。 国内では、抽出したデータの項目をさらに整理し、民間からの情報の、重要な出所である地域NPOなどにも調査のウィングを拡げて、日本における災害時の健全な情報のエコシステムが機能するための課題は何かという具体的なイメージをつかむのが課題である。
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