研究課題/領域番号 |
20K20794
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
福間 良明 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70380144)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 勤労青年 / 戦前・戦時と戦後 / 格差と教養 / 農村、漁村、工業地帯 / 教養主義 / 学歴 / 格差 / 教養文化 / 青年学級 / 定時制 / 青年団 / 工員養成所 / 大衆教養主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、勤労青年の教育の場であった青年学級(1953年より文部省社会教育局管轄)・工員養成所(労働省技能者養成規程[1947年]準拠)・定時制高校(1948年発足)の戦後史を洗い出し、彼らの教育・教養文化の変容プロセスを析出する。 勤労青年たちは、青年学級(農村部)や夜間定時制高校(都市部・工業地域)で教育・教養にふれたほか、工員養成所でも国語・文学、社会、時事問題など人文社会系の知に接していた。だが、これらの戦後史を教育・教養、格差、労働の観点から横断的に見渡した研究は皆無である。本研究では、戦後初期から高校進学率が8割を越える1970年までの勤労青年の教育・教養文化史を掘り起こす。
|
研究実績の概要 |
本研究は、勤労青年の教育の場であった青年学級・工員養成所・定時制高校の戦後史を洗い出し、彼らの教育・教養文化の変容プロセスを歴史社会学的に検討するものである。戦後の学校教育史については、教育史・教育社会学において重厚な蓄積が見られるが、「義務教育以上に進めなかった勤労青年層が、学校や地域、職場において、どのような教育・教養に、なぜにふれてきたのか」については、時系列的な検討はもとより、史料の発掘・整理も進んでいない。本研究は主として戦後の初期から高校進学率が8割を越える1970年までの勤労青年の教育・教養文化史を掘り起こし、そこに彼らを取り巻く社会環境がどう関わっていたのかを明らかにするものである。 2023年度は追加資料の収集を中心に行った。具体的には、関連資料を古書で入手したほか、おもに国会図書館(東京)や長崎県立郷土資料センターなどで資料収集を行い、僻村、離島、漁村、工業地域等における勤労青年の教養・教育文化史の資料を洗い出した。 また、それらの戦前・戦時期との(不)連続性や戦争体験との関連についても、詳しく洗い出す必要性に行き当たり、その方面の資料の収集も進めた。ことに、長崎は離島や急傾斜地が多い一方、戦前期より炭鉱業、造船業が盛んで、かつ被爆体験を有する地域であるため、重点的に資料収集を行った。その一環として、戦前期の苦学のひとつのモデルとして西岡竹次郎(長崎出身、貧困から身を起こした雄弁家・政治家)のライスコースについても調査し、戦後日本(および長崎)の勤労青年文化の特徴を浮かび上がらせるための基礎的な検討を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、2020年度・21年度の資料収集が制約された。しかしながら、2022年度以降、資料収集に行きやすくなったことから、離島、漁村、鉱工業地帯等の地方勤労青年教養文化史およびそれらの戦前期との関わりに関する資料の入手に一定の進捗が見られた。 なお、石川県など北陸地域にも資料収集に赴く予定だったが、2024年1月の震災の影響で2023年度中にそれを実施することはできなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、追加資料・補足資料の入手を進めるほか、これまでに集めた資料の総合的な分析を進め、論文等の形で研究成果をまとめたい。 追加資料としては、国会図書館(東京)や北九州市立図書館、都立図書館(多摩)、静岡県立図書館などで、工業地帯や漁村などの地方勤労青年誌等の資料収集を行うほか、戦後初期に青年学級が盛んだった宮崎でも資料収集を行う予定である。あわせて、戦前・戦時期や戦争体験との関わりについても、検討を進める。
|