研究課題/領域番号 |
20K20795
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
|
研究機関 | 高知工科大学 (2023) 摂南大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
木多 彩子 高知工科大学, システム工学群, 教授 (90330357)
|
研究分担者 |
飯田 匡 関西学院大学, 建築学部, 准教授 (40335378)
辻井 麻衣子 西日本工業大学, デザイン学部, 准教授 (40894100)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 納骨堂 / 大都市圏 / 建設プロセス / ビル型納骨堂 / ステークホルダー / 資金計画 / 近隣住民 / ゼネコン / 建築家 / 寺院関係者 / 多死社会 |
研究開始時の研究の概要 |
2035年には団塊の世代が全員85歳以上になり、経験したことのない多死社会が到来します。これまで大都市圏では、寺院だけでなく民間事業者が宗教法人の名義を借りて霊園開発を行うなどして、地方からの流入者の墓地ニーズに応えてきましたが、墓地の用地取得が難しく墓地不足が見込まれます。こうしたなか、近年、霊園墓地に変わる選択肢として生活圏内での納骨堂の新設が増加しています。特に大都市に立地するビル型納骨堂は、近い将来さらなる様々な事業主体による建設ラッシュが見込まれます。既にビル型納骨堂をめぐり近隣住民と訴訟がおこり、大都市圏のビル型納骨堂の動向の把握と、知見の体系化による具体的な議論が急がれます。
|
研究実績の概要 |
本研究の発端となった訴訟は提訴から6年以上が経過しようやく納骨堂の経営許可の違法性の審査に入った。本研究においては特に納骨堂建設に必要な法制度及び条例の把握に係るところであり、最終年度はそれらを含み、内容を討議して包括的にビル型納骨堂開設までの一般的なプロセスを図示した。
これまでの研究成果を振り返ると、大都市圏に現存するビル型納骨堂は、建物外観の意匠性が考慮されている件数比率は東京都が大阪府よりも大きく、付帯施設の内容や利便性・快適性と料金体系でビル型納骨堂の差別化を試みていること明らかになった。 そもそもビル型納骨堂建設はステークホルダーとして、寺院関連法人のみならず、企画段階から不動産開発事業者や不動産経営コンサルタント、ロジスティックスを担う自動搬送設備メーカーなどの関わり、販売代理は不動産開発事業者が関与している場合が確認された。設計者は建物のデザインと檀家だけでなく近隣住民の居場所づくりを重視していることが示された。 学会等で指摘された「不適切なビル型納骨堂の割合」と「法規制の関与の在り方」は、特にビル型が多く立地する東京都とその近郊では、条例の規制が進んでいるが、その中でも係争になると時間がかるのは前述の通りで、墓地経営許可申請と確認申請が並行することが一因と考察される。「近隣住民の反応を左右する要因」は、寺院関連法人がその地域に根付いている場合には、地域住民と法人で計画の段階から十分な協議が可能であるが、一方で、根付いていない場合には、行政手続きとして住民説明会や意見申し出の機会があったとしても、それだけで住民がビル型納骨堂の建設を理解し納得することは難しく、自治体はビル型納骨堂の経営許可を出すにあたって、周辺の生活環境を害さないか、より丁寧な判断が求められることが示唆された。研究の総括として、これらの成果をWeb上に公開した。
|