研究課題/領域番号 |
20K20797
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
ゲーマン・ジェフリー ジョセフ 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (80646406)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 先住民族 / 伝統知 / アイヌ民族 / 文化伝承 / 教育 |
研究開始時の研究の概要 |
海外の大学では、近年、先住民族の伝統知(Indigenous Knowledge)を応用的な学門(教育、社会福祉、医療、等)に応用させようとする取組みが見られる。これに対し、日本国では先住民族の教育に関する研究は見られるものの、これから急発展をする可能性が高いアイヌ文化関連事業にそれを結び付けて、先住民族アイヌの伝統知からの検討が見られない。本研究は先住民族の伝統知の定義や規模把握への体系的な検討や、アイヌの教育 文化事業への適用可能性と課題の検討を通じ、教育学分野における先住民族の伝統知の再考を行う。これにより、海外では急発展をしている 分野の日本への導入の基礎をつくる。
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研究実績の概要 |
本研究は延長の許可を得、5年目に差し掛かっている。本研究は1)伝統知の概念的整理;2)伝統知が海外の教育政策や実践的取り組みに現れる範囲の検討;3)日本への応用の可能性の整理;4)日本国内の教育的「知」の見直し作業を、国内外の先住民族研究者およびアイヌの研究協力者とともに検討することを目的としている。3年間の研究計画では、研究代表者ゲーマンが1年度(2020年度)、2年度(2021年度)に国際学会へ出席情報収集をし、3年間を通して、2019年まで定期的に行っていたアイヌの研究協力者たちとの合同研究会を継続する予定であった。 2020年度のコロナウイルス感染症発生から、研究プロジェクトのアイヌ研究協力者たちと課題だったオンラインコミュニケーションがいまだに続いており、実質的な会合は二人のみの参加になってしまうこともある。 一方で、海外移動が可能となった一昨年度から、日本国内での先住民族の国際集会の開催が可能となった。これにより、研究代表者が同集会の実行委員になり、多忙になったために、研究会の開催がなおざりなった一方で、代表者が伝統知の概念に関する理解を国内で深まる機会も得られた。 2024年3月に、2022年度に研究代表者と連携研究者一人、およびアイヌの研究協力者一人が参加した「先住民族教育に関する世界大会」の報告会およびアイヌ「教育」に関する公開研究会を開催することができ、2008年に同大会に出席したことがある計6人のアイヌに出席いただき、情報交換もできた。なお、その後はアイヌ協力者の一人に誘われ、琉球民族との交流ができ、世界大会に関する次の研究会や琉球人の活動家を招いての研究会開催の提案が上がっている。 最後に、研究代表者は国内学会の年度大会でパネリストとして参加することにより、違った視点から課題に接近し、研究者ネットワークを強化できた。その他に、本の一章も掲載することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年度からまだ解決できていないアイヌのオリジナルの研究協力者との定期的な合同研究会の開催は復活できていない。また、世代交代もした方が良いというご意見もいただいており、アイヌの研究協力者との関係性を真剣に検討をする時期に来ているかもしれない。また、昨年の5月に国内で行われた先住民族の国際シンポジウムの実行委員会に研究代表者がかかわっていた多房性のため、伝統知の概念的整理作業や本研究プロジェクトの国際シンポジウムの開催は後回しにされてしまったのも事実である。一方で、オリジナルのアイヌ研究協力者の内の一人は熱心に他地域の先住民族(琉球、アラスカ)との共同研究を望んでおり、最終年度内の今年に琉球との合同研究会やアラスカの先住民出身の研究者を招いた国際シンポジウムの開催はできる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
1)伝統知の概念的整理が大分進んだので、昨年度保留になっていた論文の執筆につなげたい;2)アイヌ民族の二人の研究協力者とオンラインで研究会を進められるよう、段取りはできているので、琉球人を交えた研究会を開催したい;3)World Indigenous Peoples' Conference on Education出席の報告会を行うことを通して、同大会に2008年以降に参加したことがあるアイヌは6-7人揃えている。彼・彼女らとともに集い、課題4、日本国内への適用の整理作業を行う研究会も目指す;4)研究代表者は2024年5月にオーストラリアのニューサウスウェールズ州で行われる先住民族漁業権に関する第二回の国際シンポジウムに招待されたので、2020年度のプロジェクト開始からずっとペンディングだった国際大会への出席を通して、課題3,人権面での提供可能性に関する情報収集をするとともに、課題整理を進めたい;5)令和6年度は最終年度のため、2025年の春に1~2の国際先住民族のゲストを札幌に招へいし、国際シンポジウムを開催するとともに、報告書や本の出版につなげたい。
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