研究課題/領域番号 |
20K20819
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
藤森 裕治 文教大学, 教育学部, 教授 (00313817)
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研究分担者 |
白川 佳子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (20259716)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 輪になる活動 / 国際比較 / 文化論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の素朴な問いは以下の通りである。 「人はなぜ輪になるのか?輪になることにはどんな意味や効果があるのか?」 この問いを契機として,教育実践場面で観察されるさまざまな「輪になる活動」を取り上げ,この物理的環境が子供たちにとってどのような教育的意義を有するのか追究することが本研究の目的である。 その際,本研究では3つの学問領域をまたがる方法的アプローチを採用することとした。すなわち①輪にかかわる文化論的アプローチ,②国内外の教育活動に取材する比較教育学的アプローチ,③保幼小を主対象とした発達心理学的アプローチの3者である。 これらのアプローチから初期の問いの答えを解明することが,本研究のゴールとなる。
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研究実績の概要 |
本研究は、以下の問いを明らかにすることを目的としている。すなわち、1) 輪になるという物理的形態を伴う教育活動が本質的にもつ意味と意義は何か?2) 輪になるという文化事象にはどのような意味があり,人々をいかなる状態に導くのか?3) 輪になる教育活動と各国の文化的な特質にはどのような関連性があるのか?である。この目的を遂行するために、2023年度における当該科研の最も中心的な課題は、これまでの研究成果を総括し、広く国内外に発信することであった。 この課題に向けて、研究代表者の藤森と分担者の白川は、研究協力者として都内の私立保育園であるC保育園に依頼し、同園をフィールドとして長期継続研究を実施した。研究テーマは、輪になる活動の典型として実践されているサークル・タイム活動において、経験未熟なクラスの担任と園児たちが約1年間でどのように変容するかというもので、一部統計的な分析を含む探索的研究として、所属機関における研究倫理審査を経て行われた。 この研究成果を2022年度の調査研究と統合し、挑戦的研究(萌芽)の助成をいただいた当該研究の到達点として"How Should We Use Circle-Time Activities?:Exploring Methodologies for a Smooth Transition from ECEC to CSE"と題する調査報告レポートにまとめた。 これをもとに、2023年9月にポルトガルで開催されたヨーロッパ幼児教育学会での口頭発表を初め、国内での学会発表、招待講演、著書・論文等において研究成果が発信された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度から2021年度にかけては、新型コロナ感染症の影響等があって教育実践場面を対象としての臨床研究を行うことができず、国際学会等でも発表・情報収集に支障を来していた。 幸い、2022年度になって研究分担者の白川がかかわっているC保育園における長期の参与観察研究が可能となり、同園の職員・副園長の研究協力を得ることもできて、当該課題の臨床研究を推進する環境を得ることができた。以後、ヨーロッパ幼児教育学会を初めとする国内外の学会等において研究発表を行うとともに、学術論文としても世に示すことができた。 特筆しておきたいのは、本科研にて得られた知見をもとに、NHK教育テレビ高校講座「現代の国語」において、研究代表者の藤森が監修講師となり、「輪」になって語り合う学習活動を行ったことである。その意義と効果がテレビ番組として広く公開されたことは大きな成果と考える。 課題として残されたのは、サークルタイムに代表される国外の教育実践場面での活動について、当初予定していた渡航調査が十分にできなかった点である。ただし、この問題については、当該科研の助成をいただく前に収集されていた過去14年間の調査記録から抽出された「輪になる活動」を一次資料として分析することによって対応している。新型コロナ感染症の影響が収まった現在の状況についての調査研究に充当できる予算はないので、次期科学研究費の助成を仰ぎたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況欄にも記述したが、国外の教育実践場面において「輪になる活動」に関する最新の調査研究が今後の課題となる。幸い、当該科研の助成を受ける前に、ハンガリー、イギリス、アメリカ等の幼児及び初等教育実践場面における現地調査データが膨大な資料としてあったので、これらを解析することで国際比較研究が進められた。 今後の研究の推進方策としては、以下の点が挙げられる。 ①渡航調査の追加:すでに受給している当該科研の助成金では充当できないので、所属大学等の研究予算によって補填しつつ最新の国外データを収集する。 ②著書・論文・学会発表等での発信:当該科研の研究成果を、さらに広く普及させる。 ③「輪になる活動」の実践開発:すでに研究協力を受諾してくださっているC保育園に加え、近隣の初等教育機関、及び中等教育機関にも研究協力校を見出し、実践開発と臨床研究を行う。
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