研究課題/領域番号 |
20K20838
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
夏目 季代久 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30231492)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | やりぬく力Grit / 勤勉性学習 / オープンフィールド試験 / 高架式十字迷路実験 / 新規物体課題 / カイニン酸モデル / カイニン酸投与 / 回し車走行試験 / 無力感学習 / 高架十字迷路試験 / やりぬく力 / Grit / バイオマーカー / ドパミン / 脳波 |
研究開始時の研究の概要 |
問題解決に重要な「やり抜く力」Gritに影響を与える要因に、「学習性勤勉性」と「学習性無力感」がある。前者は努力を学習し他の困難な事にも取り組むようになる事であり、後者は努力をしても駄目だと思い何もしなくなる事である。このように努力は学習により獲得したり喪失する。「勤勉性」、「無力感」の学習時の脳内変化は調べられていない。そこで本研究では、ラットに勤勉性と無力感を学習させ、その時の脳内変化バイオマーカを明らかにする。こようなGritバイオマーカが明らかになれば、学習者に応じた学習カリキュラム・学習教材の作成が可能になり、カスタムメイド教育・教授法開発が可能となる。
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研究実績の概要 |
ラットのGrit行動指標を決めるために、2020-2022年度にかけて勤勉性ラットモデルの作成を試みてきた。2022年度、カイニン酸(KA)少量頻回投与ラットの行動を調べた。3,4週齢ラットを用い、てんかんが生じない量のKAを投与し、投与前と投与1、2週間後の行動を測定した。その結果、オープンフィールド(OFT)課題では総移動距離が先行研究同様、延長した。またフィールドのセンターゾーンへの侵入距離も有意に延長し、先行研究同様の結果が再現できた。 さらに2023年度は、ラットの勤勉性学習性能を測定するために、新規物体探索(NOR)課題を実施した。NOR課題では、最初に2つの同一物体Aに慣れさせた(サンプリング)。その5分、1時間、1日のインターバル後に1個の物体Aと1個の新規物体Bを提示した(テスト)。ラットが親近物体Aを覚えているか調べる課題である。サンプリング時間は10分、テスト時間は5分とした。ラットがもし親近物体Aを記憶していたら新規物体Bの探索時間が延長するはずである。KAを投与したラット(KA群)6匹、生理食塩水を投与したラット(対照群)6匹で実験した。 その結果、薬品投与前、5分、1時間後では新規物体の滞在時間が長かったが、1日後の滞在時間は短かった。薬品投与後、対照群では薬品投与前の傾向が消え、KA群では5分、1時間後の新規物体への滞在時間が長くなった。またサンプリング期間中、対照群に比べKA群での2物体滞在時間は延長していた。さらに透析実験により海馬ドパミン濃度を測定した所、KA群の方が対照群より高い傾向だった。 以上の結果は、今回のKA投与法により勤勉性学習モデルを作成出来た事が示唆される。しかし、2物体への滞在時間が長くなり勤勉性を示すものの、親近物体の記憶時間には変化が無かった。今後は、その点を明らかにしていきたい。
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