研究課題/領域番号 |
20K20839
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松本 久美子 長崎大学, 留学生教育・支援センター, 客員研究員 (70295111)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 合理的配慮 / 発達障害 / 交換留学生 / 受け入れ体制 / 修学上の支援 / 障害学生支援 / 多文化共生 |
研究開始時の研究の概要 |
障害者差別解消法施行(2016)を受け、大学においても障害学生支援の体制作りが進められている。その支援の対象には海外の協定校から派遣されてくる交換留学生(留学期間:半年・1年)も含まれているが、近年障害を持つ交換留学生が増加傾向にある。 本研究では発達障害等の「目に見えない」障害を持つ交換留学生が限られた期間中に留学目的を十全に達成できるような支援体制を構築するための研究を行う。具体的には海外協定校での実地調査と合理的配慮が義務付けられている国立大学で留学生受け入れに関わる教職員に対する質問紙調査と面接調査を実施し、現状の把握と問題点の洗い出しを行い、それに対する対応策を提示する。
|
研究実績の概要 |
本研究の研究期間は3年間(2020年度~2022年度)であったが、コロナの影響を甚大に受け研究が大幅に遅れていたため研究期間の延長申請を行い、2023年度も研究を継続することとなった。 2023年度はこれまで実施できないでいた海外での実地調査(2大学)を実施できたことが大きい。まず、前年度まではオンラインで情報交換を行ってきた協定校(オランダのライデン大学)を訪問し、関係部署の担当者と面談を行った。ライデン大学からは毎年日本学科の学生15名を受け入れている。日本学科の教員との面談に加え、合理的配慮に関係する障害センター及びテストセンターのスタッフとカウンセラーとの面談を行い、合理的配慮を必要とする学生に対する具体的な支援体制とその現状について詳細な情報収集を行った。また、前年度に本学に留学していた合理的配慮を必要とする学生に対するフォローアップインタビューを実施した。次にデンマークのコペンハーゲン大学とインクルーシブ教育を実施している国民学校における調査を実施した。本来の計画では20年前に障害を持つ学生の支援に関して調査を実施したことのあるスウェーデンのストックホルム大学を予定していたが、時期的な調整がうまくいかず、同じ北欧でノーマライゼーションが広くいきわたっているデンマークでの調査に変更した。 国内での実地調査については北海道大学、大阪大学、名古屋大学を訪問し、障がい学生支援に関わる教員及び担当部署のカウンセラーとの面談を実施した。同じ国立大学でも各大学でそれぞれ特色があり、本学との共通点及び相違点を明確にすることができた。特に名古屋大学は合理的配慮を必要とする学生のための専用スペースがあり、それが学生支援のために有効に機能していることが確認された。 これら国内外での実地調査で得た情報は全て学生の支援体制構築のために障がい学生支援室と共有した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響を受け実施できずにいた国内外の調査、特に海外における協定校等に対する実地調査を本年度は実施することができ、これまでの遅れをある程度取り戻すことができた。また、それらの調査結果は逐次本学の支援担当部署と共有することで支援体制構築の一助としている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度についても昨年度に引き続き国内外での実地調査を継続し、これまでの調査結果をまとめ、関連学会で発表するとともに報告書にまとめる予定である。 まず、5月はフルインクルージョンを達成しているイタリアでの実地調査を予定している。イタリアでは障害を持つ児童生徒に対する特別支援学校は存在せず、教育課程全てにおいて普通教育に統合されている。イタリアでは協定校であるカフォスカリ大学の日本語教員・学生との面談、及び関係部署訪問の日程がほぼ決定している。その調査結果を前年度に訪問したオランダ及びデンマークと比較検討する。 2023年3月をもって定年退職をし、客員研究員となったため、専任時のように欧州の交換留学生を対象とした日本語プログラムのコーディネーター等の責を負えなくなった。科研費に応募し採択された際には専任の立場で実施できる研究計画を設計していたが、立場が変わったために、その内容も変更せざるを得ない部分がある。そこで、最初に述べたように、先進的な海外の大学における支援体制の調査と国内の大学における調査を主軸にし、その調査結果をもとに、国立大学法人における支援体制の構築について分析・検討することとした。国立大学指導相談協議会には退職後も客員研究員として参加しており、そのネットワークを活用して国内の大学での支援状況調査を継続する予定である。
|