研究課題/領域番号 |
20K20844
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
大石 幸二 立教大学, 現代心理学部, 教授 (80302363)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 多職種連携 / 診断閾下 / 行動コンサルテーション / 社会関係支援 / 随伴ペアリング / 診断前支援 / 早期社会接続 / 情動共有 / 身体運動 / 対人相互作用 / こだわり / 過敏性 / 社会的随伴性 / 不安 / コルチゾール / 社会炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)児に不安や恐怖を喚起することのない、逆模倣やミラーリングを駆使した、簡易で侵襲性の低い手法を社会実装する。また、介入の効果評価として、唾液中コルチゾール濃度を測定し、ポジティブな対人相互作用の促進が体内で生じる炎症反応やストレス反応の抑制にも効果があることを確かめる。本研究の挑戦的な試みが成功すれば、この研究知見をASDが疑われる幼児の支援に対してはもとより、注意欠如・多動症やパニック障害、社交不安症、気分障害(うつ)などの症状理解と効果的な支援にも派生的に応用できる。さらに、医療保健・福祉・教育分野のサービスに飛躍的な発展をもたらすことが期待できる。
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研究実績の概要 |
保育・教育・療育に従事する人材が主体的に診断前支援にあたることができるように、補助事業期間延長の承認を受けて、医療型施設において「就学児用受診申込・紹介票の改訂」を行った。また、自閉スペクトラム症児の早期社会接続に関する介入手法の社会実装の促進に向けて人材育成のための研究を続けた。ただし、新型コロナウイルス感染症が第5類感染症に移行したのは、令和5年5月8日のことであったため、この日を起点として、改めて、県またぎ移動を伴うフィールド調査を設計した。その結果、鹿児島県におけるフィールド調査は遅々して進まず、所期の成果を修めることが困難であった。 それでも、研究を加速するため、3名のRAを雇用して、データの分析補助と論文作成に関する機械的な作業に関する支援を受けた。その結果、自閉スペクトラム症児者の早期社会接続と人材育成に関して、書籍1冊(「行動障害の理解と支援」「応用行動分析技法の理解」「多職種連携とコンサルテーション」などを含む『障害福祉入門(仮)』[学苑社]を執筆・編集)を刊行する準備が整い、論文1編(「自閉スペクトラム症児における命題的心理化を促進するための言語的理由づけの検討」[日本人間関係学会]を公表すると共に、学会発表(自主シンポジウム)1件(「知的障害のある生徒の自立活動における心理的な安定に関する社会モデルの検討」[日本特殊教育学会])を行うことができた。 このように研究を加速をさせたが、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受けて、行うことができなかった社会実装のためのフィールド調査は、なお未実施の部分が残されている。この点については、研究期間を再度延長して(令和6年3月15日承認済)、所期の目的を達成する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
補助事業期間延長の承認を得て実施した、第4年次の研究においても、特に上半期までは、医療型の施設で新型コロナウイルス感染症対策の影響が残遺していた。そのために、鹿児島県におけるフィールド調査を進めることが困難であった。というのも、鹿児島県のフィールドの中心は医療型の施設(機関長が医師)であり、利用者(患者など)も遠隔診察を行っており、外部研究者がその場に参入することが不可能であったためである。 これらの状況を踏まえ、補助事業期間を再延長することにより、未実施のフィールド調査を進め、社会実装のためのデータ収集を本格的に推進する。その際、鹿児島県内のフィールドの拡大を目指す。令和5年5月8日より感染症第5類に移行したことで、フィールド拡大に向けた折衝を進めることができている。令和6年度まで研究期間を延長することにより、上記の目標は十分に達成が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
再延長期間後の第5年次(令和6年度)研究は、研究遂行の最終年度となる。これまでの研究実施により、鹿児島県こども総合療育センター、鹿児島県くらし保健福祉部、鹿児島県教育庁、鹿児島大学、南九州大学の関係者とのつながりを得ることができ、本格的な社会実装に向けた準備を整えることができた。 これまでにフィールドで収集したデータおよびフィールドでのアンションリサーチの基盤となる実験室研究のデータの分析を加速度的に進め、これらの論文化を行い、その成果を社会に発信する。
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