研究課題/領域番号 |
20K20859
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
綾部 早穂 筑波大学, 人間系, 教授 (40323232)
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研究分担者 |
小早川 達 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (70357010)
樽味 孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (40825858)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 嗅覚 / 体臭識別 / 社会的ネットワーク / 拡散テンソル画像 / 扁桃体 / ストレス耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
嗅覚機能の低下や障害は視聴覚ほどに注目されないが、食の楽しみが低減して食欲を失するなど、QOLにもかかわる。また、急速に情報化が進む社会において、人間同士や環境への接触といったリアルな社会的相互作用で生み出される社会的記憶における嗅覚の役割についても未解明である。バーチャルな世界でのにおいの再現、遠隔コミュニケーション場面でのにおいの共有は実現が困難である。対面接触の減少、孤立状況の増加や、人間の成長過程においてリアルな社会的相互作用が減少することで、嗅覚系への刺激は減少する。今後、情報化深化の社会に生きる人間に対して、においが果たす役割は何か、つまり人間にとっての嗅覚の重要性について考える。
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研究実績の概要 |
嗅覚機能の低下や障害は視覚や聴覚におけるそれほどには注目されていないが、食の楽しみが低減して食欲を失うなど深刻な問題も派生しうる。まや、急速に情報化が進む社会において、人間同士や自然環境への接触といった有機的な社会的相互作用において生み出される社会的記憶における嗅覚の役割や重要性についても未解明である。バーチャルな世界でのにおい知覚の再現、遠隔コミュニケーション場面でのにおい知覚の共有の実現に向けて様々な取り組みが試みられているが、化学物質の再現という観点から制約は大きい。対面接触の減少や孤立状況の増加等によって、人間の成長過程において物理化学的な社会的相互作用が減少することで、嗅覚系の刺激は減少し、嗅覚系の活性頻度は低下すると考えられる。今後さらなる情報化深化の社会に生きる人間に対して、においが果たす役割は何か、つまり人間にとっての嗅覚の重要性について考える。 令和4年度においては、においの識別能力(①体臭の識別能力②日常生活臭の識別能力)と社会的相互作用における個人差(③友人関係④情動的共感性⑤コミュニケーションスキル)との関連について調べた。先行研究からは、体臭識別能力が高いほど外向性や開放性、共感性、コミュニケーション能力が高いことが示されているが、本研究においても体臭識別能力が高くなるほど他者尊重や他者受容の得点も高くなる傾向が認められた。また、日常生活臭同定能力は外向性の高さと関連がみられたが、体臭識別能力と日常生活臭同定能力に関連は見られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度に実施予定であった嗅覚刺激の評価(対面実験)はコロナ禍のため実験実施が困難であり、1年遅れて令和3年度にようやく予備的実験が開始できた。昨年度(令和4年度)にはようやく、体臭の識別試験と日常生活臭の同定能力の計測を同時に実施する実験に至った。体臭識別試験での高得点者と低得点者を確保することができたので、令和5年度はこれらの実験参加者の嗅球と扁桃体等の組織間の神経走行を計測し分析する。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の実験で体臭識別に高い能力を示した実験参加者と識別がほとんどできなかった実験参加者を確保できたため、令和5年度にはこれらの実験参加者の嗅球(第一次嗅覚野)と扁桃体、海馬、眼窩前頭皮質間の神経走行をMRI計測による拡散テンソル画像分析により推定していく。
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