研究課題/領域番号 |
20K20860
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水原 啓暁 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30392137)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 自他分離 / コミュニケーション / 脳波 / 自己主体感 / 遠心性コピー / 事象関連電位 / 感覚減衰 / 運動主体感 / トップダウン / ボトムアップ / 運動予測 / ハイパースキャン / 社会脳 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「自分は誰なのか?なぜ他人は自分ではないのか?」という人間としての根源を成す哲学的な問いに,脳神経科学の立場から挑戦する研究課題である.特に,自己と他者の認識(自他分離)を実現する脳メカニズムの最有力候補として考えられている「運動指令の遠心性コピー」に焦点をあてて,その真偽を検証することで自他分離の脳メカニズム解明をおこなう.このために人間を対象とした頭皮脳波計測実験を行う.特に本研究では,2名の被験者の脳波の同時記録を実施することで,自他分離を実現すると考えられている「運動指令の遠心性コピー」が真に自他分離を実現しているかを検証する.
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研究成果の概要 |
自己と他者の認識(自他分離)を実現する脳メカニズムの有力候補として,運動指令の遠心性コピーによる運動予測が挙げられている.この運動予測が,単に遠心性コピーのみならずトップダウンの影響が存在することを検証する目的で,恋愛カップルが手をつなぐことによる感覚減衰課題実施中の脳波を測定した.その結果,特に女性の実験参加者において,パートナーと手をつなぐことにより感覚減衰の効果が表れる結果を得た.これは,自他分離の脳メカニズムの有力候補として考えられている運動予測について,遠心性コピー以外に文脈に依存したトップダウン信号の存在を示唆している.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自他分離を実現する脳メカニズムを研究する際に,感覚減衰パラダイムが頻繁に用いられている.この感覚減衰は運動指令の遠心性コピーにより実現されると考えられているが,二人一組で参加した被験者の個体を超えて感覚減衰が発生するとすれば,単純に遠心性コピーにより感覚減衰が発生するものではないことになる.そこで,より高次の文脈依存的なトップダウン信号によっても運動予測を実現しているかを検証した.このことは,今後,自他分離に関するさらになる研究を実施する際に感覚減衰パラダイムを用いることの正当性に関する知見を提供するものである.
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