研究課題
挑戦的研究(萌芽)
ワーキングメモリとは、様々な心的活動において一時的に必要情報を保持する記憶の働きを指す。この記憶機能をトレーニングすることで、心的活動が促進されるであろうと期待されていたが、そうしたトレーニングの効果は極めて限定的であることが報告されている。また、理論的には、トレーニングの実施により、別の心的活動が低下すること予測されている。本研究は、このワーキングメモリ・トレーニングの「負の効果」の存在を検証することから始め、これを克服する新たなトレーニング方法を提案するとともに、心的機能に対するトレーニングの考え方を根本から変える新しい心理学理論の体系化に挑戦する。
ワーキングメモリとは、様々な心的活動において一時的に必要情報を保持する記憶の働きを指す。この記憶機能をトレーニングすることで、心的活動が促進されるであろうと期待されていたが、そうしたトレーニングの効果は極めて限定的であることが報告されている。また、理論的には、トレーニングの実施により、別の心的活動が低下すること予測されている。本研究では、このワーキングメモリ・トレーニングの「負の効果」の存在を検証することから始め、心的機能に対するトレーニングの考え方を根本から変える新しい心理学理論の体系化に挑戦することを目的としている。2020年度には、ワーキングメモリ・トレーニングの「負の効果」の存在を確認し、さらにその転移の方向の非対称性を、2段階トレーニング法を用いて発見した。2021年度には、この負の転移効果のメカニズムを探るため、3段階トレーニングプログラムを開発し、実施した。この3段階トレーニングは3日間のトレーニングを3回(合計9日間)行うものであり、参加者の疲労などもあるものと考えられ、やや曖昧な結果が得られた。2023年度には、ワーキングメモリ・トレーニングの「負の効果」を示すデータに基づいた国際共著論文がMemory & Cognitionという国際主要雑誌に出版された。さらに、日本心理学会において、シンポジウム「認知トレーニングの負の転移効果」を開催して、本プロジェクトの成果に基づいた研究発表と研究討議を行い、新たな観点から議論をまとめ、大きな理論的な進展があった。また、認知トレーニングをメタ認知のトレーニングにまで展開するとともに、その成果も国際主要雑誌に掲載した。学校における認知トレーニングの影響に関する実践的研究も行いその成果は今後論文化される予定である。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件)
Developmental Psychology
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