研究課題/領域番号 |
20K20867
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 実験心理学 / 身体感覚 / 内受容感覚 / 加齢 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,高齢者の転倒予防や身体機能維持・改善を目指し,高齢者の身体知覚における内受容感覚の影響を明らかにすることを目的としている。高齢者で頻発する転倒は認知症を誘発するため早急に対策がとられる必要がある。本研究では,高齢者の転倒には感覚運動機能の低下と,それに伴う脳内の身体表象の歪みの関与していると考え,身体表象の形成・更新過程における内受容感覚の影響をベイズ理論の枠組みと実験心理学の手法を用いて検討する。また,得られた知見に基づき,高齢者の個々人の身体表象の改善に有用な,効率的かつ効果的なバーチャル・リアリティを使った介入方法を提案する。
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研究実績の概要 |
身体表象には,視覚や固有感覚などの外受容感覚に加えて,内臓系や自律神経系など身体内部から集まる各種生体情報に基づく感覚である内受容感覚が深く関与することが示唆されている。しかし,高齢者の身体知覚への内受容感覚の影響を調べた研究はない。内受容感覚は身体表象の安定性を生み出す基盤である一方,外受容感覚は身体表象の周囲環境への適応を促す基盤である。これらが拮抗して作用することによってバランスのとれた身体表象が形成・更新されると考えられる。そこで本研究では高齢者の身体表象の形成・更新プロセスおける内受容感覚の影響を,ベイズ理論の枠組みを利用して明らかにすることを目的としている。 本年度はproject-hand錯覚を使って実験を実施した。まず,実際の手の位置(固有感覚の示す手の位置)と視覚的な手の位置に齟齬を与え,それに参加者を順応させて,錯覚を生じさせた。その後,視覚情報を取り除き,錯覚がどのように減衰するかを若齢者と高齢者で比較した。また,その錯覚の減衰量が内受容感覚の感度や正確性とどのように関わっているかを調べた。その結果,内受容感覚の感度が高い人ほど,錯覚の減衰量が減衰しやすいこと(錯覚以前の状態に戻りやすいこと)が明らかになった。得られた結果は,英文学術誌に誌上発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度まで新型コロナウィルス感染症の拡大により研究の進捗がやや遅れていた。本年度はその遅れを一部取り戻し,実験の実施および成果の発表を行うことができた。しかし,計画していた研究がすべて完了したわけではないことから「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
計画していた項目のうち【B】感覚入力と身体モデルの統合プロセスの解明および【C】VR介入実験を進め,成果を公表する予定である。各研究施設における新型コロナウィルス感染症対策が解除に向かうことから,予定していた研究を十分にすすめることができると考える。
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