研究課題/領域番号 |
20K20868
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
榊 美知子 高知工科大学, 総合研究所, 客員准教授 (50748671)
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研究分担者 |
繁桝 博昭 高知工科大学, 情報学群, 教授 (90447855)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 貧困 / 感情 / 仮想現実 / ストレス / 共感 / ヴァーチャルリアリティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,途上国の貧困が子どもにもたらす心理的影響を明らかにした上で,途上国の貧困層の子どもに対する先進国の国民の理解と共感を促進する介入プログラムの効果を検証することを目的とする。まず,途上国の貧困が子どもの動機づけ,抑うつ気分,不安,ストレス経験にもたらす影響を検討する。次に,途上国の貧困層の子どもの生活を実感できるバーチャル・リアリティによるプログラムを開発し,VRによって国際支援に関する理解や共感が影響を受けるかを実証的に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では大きく2つの目的があった。第一の目的は,貧困が子どもの発達に与える影響を検討すること,第二の目的は,先進国である日本において仮想現実を用いることで発展途上国で貧困に苦しむ子どもに対する共感を誘発できるかどうか検討することである。第一の目的を達成するため,まず先進国における子どもの感情の発達について検討し,更に途上国に研究を展開するためナイジェリアの学校でデータを収集した。ナイジェリアのデータをもとに貧困が主観的な不快感情やストレス指標とストレスの身体マーカーに与える影響について検討を行い,貧困が両者に異なる影響を与えることを明らかにした。次に第二の目的を達成するため,ヘッドマウントディスプレイを使って,日本にいながら発展途上国の生活を仮想現実空間で体験することで,途上国に対する寄付行動や途上国に関する情報収集が変化するかを検討した。しかし,当初の予想に反して,仮想現実による体験をしても,発展途上国に対する共感や寄付行動には変化が認められなかった。こうした結果から,ヘッドマウントディスプレイで発展途上国の生活の様子を傍観するだけでは,効果が十分ではないと考えられる。そこで,仮想現実環境でインタラクティブな相互作用が可能な博物館展示の影響を検討したところ,こうしたインタラクティブな環境では仮想現実により他国に関する知識獲得が促進されることが明らかになった。以上の結果から,貧困が発展途上国の子どもの発達に影響を与えること,更に仮想現実は使い方によっては先進国における途上国への共感や興味を誘発できる可能性が示唆された。
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