研究課題/領域番号 |
20K20874
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
野波 寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (50273206)
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研究分担者 |
田代 豊 名桜大学, 国際学部, 教授 (20441959)
坂本 剛 中部大学, 人文学部, 教授 (30387906)
青木 俊明 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60302072)
大友 章司 関東学院大学, 人間共生学部, 准教授 (80455815)
大場 健太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (90612010)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | NIMBY / 道徳 / 共感 / 直観 / 討議参加型ゲーミング / fMRI(磁気共鳴機能画像法)による脳機能検証 / NIMBY施設 / 合理的判断 / fMRI / 忌避施設 / 道徳ジレンマ / 当事者の優位的正当化 / 参加型ゲーミング / 脳活動測定 / NIMBY問題 / 神経生理学的基盤 / MRI |
研究開始時の研究の概要 |
いわゆる「迷惑施設」の立地をめぐるNIMBY(Not in my backyard)問題では、「当事者の優位的正当化」(当事者=地元住民の決定権が他よりも優位に評価される傾向)が広範に認められる。当事者の優位的正当化は、社会全体での共貧化をまねく点で合理的な判断とは言えず、直観的で非合理的な道徳判断にもとづく判断と仮定できる。本研究では、NIMBY問題における「社会の公益か当事者の権利か」という人々の判断に影響を及ぼす道徳判断について、その神経生理学的な基盤を、脳機能計測(MRI、fMRI)の手法を用いた実験で検証する。
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研究成果の概要 |
所定の課題について、WEB上での場面想定法、討議参加型ゲーミング、社会調査、およびfMRI(磁気共鳴機能画像法)による脳機能検証に関する実験を実施した。 これら一連の研究により、当該課題の中心的命題であったNIMBY施設(Not in my backyard, いわゆる迷惑施設)の文脈における人々の判断に道徳や共感にもとづく直観が影響を及ぼすこと、それゆえ長期的かつ合理的な判断がなされにくいこと、そうした合理的判断を人々に促す上では将来世代の呈示による世代間公平の焦点化が有効であることを明らかにした。これらの知見を2021~2023年にかけて計7本(うち1本は国際誌)論文として公刊した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
NIMBY問題は、「迷惑施設」と呼ばれる社会的構造を内包する公共施設の立地問題である。迷惑施設それ自体は特殊な公共施設の立地問題に過ぎないが、少数者の利益と多数者の利益が対立し、いずれか一方の損失なしには他方の利益が達成できないというNIMBYの構造は、公共施設のみならず社会保障制度などその他の分野でも多数の例が散見できる。本来は合理的な基準にもとづく判断が問われるべきこれらの問題には、実際には道徳のような直観的判断が関わりやすく、そのことが合理的判断にゆがみを発生させる可能性がある。本研究は、NIMBY問題における知見をもとに、その他の公共財問題にも道徳判断が影響を及ぼす可能性を示した。
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