研究課題/領域番号 |
20K20885
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
|
研究機関 | 中部大学 (2022) 九州大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
長田 博文 中部大学, 工学部, 教授 (20177207)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 無限粒子系 / ランダム行列 / 古典力学 / 確率力学 / 無限次元確率微分方程式 / エルゴード理論 / Dysonモデル / ダイソンモデル / エルゴード性 / 既約性 / 統計物理 / 無限次元常微分方程式 / 無限次元力学系 / 統計力学 / 低粘性極限 / 干渉ブラウン運動 / 勾配系 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の未来はもう決まっているのだろうか。これは古典力学の出現以来、綿々と続く問いである。一つの物体(粒子)の運動は、古典(ニュートン)力学にしたがう常微分方程式で記述される。現実の世界は膨大な数(数学的には無限個)の粒子からなり、その時間発展は、無限粒子系が満たす無限次元常微分方程式で記述される。本研究は、これを解き、統計力学的視点から研究する。
|
研究成果の概要 |
本研究は無限粒子系の古典力学を研究することを目標とし、無限次元確率微分方程式の解の低粘性極限を取るという戦略を採用した。そのために重要となるIFC条件に関する論文を完成し出版した。IFC条件というのは、無限次元方程式を、無限個の有限次元方程式の列に分解するための条件である。これを用いてDysonモデルというランダム行列に関係する無限粒子系の確率力学に関して、マルコフ過程としての既約性を証明した。これは、個々の粒子 を区別するという意味で、ラベル力学に対して証明したものである。更に、不変確率測度の非存在を証明した後、アンラベル力学のエルゴード性を証明した。これらは二つの論文で出版した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
無限粒子系とは、単一もしくは少種類の粒子の莫大な量からなる系を記述する数学的対象である。従来の伝統的研究が単一もしくは少数の粒子の研究から始められたのに比して、無限粒子系の研究は集団的挙動を解明するという使命を持ち、統計物理や情報理論など多くの分野とつながっている。従来なされた豊饒な古典的研究は、一つの粒子の研究である。その無限粒子系の対応物を考えることは、新たな世界や現象を解明することにつながる。現実の世界は極めて多量の粒子からできており、それを考察するための確固たる数学的手段を構築する無限粒子系の研究は、是非やり遂げるべき課題である。
|