研究課題/領域番号 |
20K20888
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今井 正幸 東北大学, 理学研究科, 教授 (60251485)
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研究分担者 |
鶴山 竜昭 公益財団法人放射線影響研究所, 分子生物科学部, 主任研究員 (00303842)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | がん細胞形態 / 腫瘍形態 / 力学モデル / ベシクル集合体 / がん組織形態 / ベシクル |
研究開始時の研究の概要 |
正常細胞はがん化すると、細胞の形態が大きく変化する。その形態変化を細胞の形状を決める膜張力・膜弾性力・接着力、および線張力で表される力学モデルで再現することによりがん細胞を特徴づける力学パラメーター・形態パラメーターを抽出する。得られた力学パラメーターの特徴は、それぞれのがん細胞に対する病理診断の結果との相関を調べることによりがん細胞の形態変化の起源の解明と病理診断への応用を目指す。がん細胞の形態をソフトマター物理で培った力学モデルで定量化し、その力学パラメーターを支配するタンパク質と発がん関連遺伝子の関係が明らかになればがん医療に新しい知見を与えることになる。
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研究成果の概要 |
複数のベシクルが接着したモデル細胞組織の形態形成を、実験と膜弾性理論に基づく力学モデルで明らかにした。モデル組織の形態は接着力、表面張力、及び曲げ弾性力のバランスで決定し、実験で得られた典型的な形状はこの力学モデルでよく記述されることがわかった。この力学モデルを用いて腫瘍(がん細胞集団組織)の形態の再現を試みた。子宮頸がんの典型的な腫瘍組織及びがん細胞のカニバリズムと呼ばれる食細胞現象を力学モデルにより再現することには成功した。しかしながら、そこから病理診断に応用できるがん細胞の特徴を抽出することは困難であった。現在、実際にがん細胞を培養しながらがん細胞に特有な形態の抽出を進めている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん細胞または腫瘍組織の形態からがんの病状を診断する病理診断は、今まで病理医の経験に大きく依存してきた。最近はAIを使った病理診断も行われているが、がんの機序との関連が不明であるためその精度には限界がある。そこでモデル細胞であるベシクル組織の形態を再現する力学モデルを導入して腫瘍形態とがんの機序をつなぐことを目指した。ある程度の腫瘍構造の再現は可能であるが、がんのエッセンスを取り出すにはさらなる研究が必要である。
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