研究課題/領域番号 |
20K20896
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
益田 隆嗣 東京大学, 物性研究所, 准教授 (90313014)
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研究分担者 |
浅井 晋一郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (00748410)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 中性子散乱 / スピン流 / スピノンスピン流 / スピンゼーベック効果 / 中性子非弾性散乱 / 擬一次元反強磁性体 |
研究開始時の研究の概要 |
スピン波スピン流はジュール熱損失のない電流に代わる流れとして注目を集めているが、電流のように簡便には検出できない。本課題では、ミクロなスピンダイナミクスを直接観測する分光学的手法によりスピン流の存在を実証する。2021年2月に再稼働する研究用原子炉JRR-3の中性子分光器と高強度中性子源J-PARCの中性子分光器を相補利用することにより、成果創出を目指す。
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研究成果の概要 |
中性子散乱実験により、擬一次元反強磁性体BaCu2Si2O7の連続磁気励起を観測し、詳細なスペクトル解析から当該物質の素励起がスピノンであることを明らかにした。この結果を受け、スピンゼーベック効果により誘起されるスピノンスピン流を中性子非弾性散乱実験で検出することを試みたが、本課題の実験条件では検出されなかった。後日、スピン流の媒体がスピノンとなる温度領域は、想定よりも高温であることが明らかとなった。本課題終了後も、試料体積、温度、使用分光器などの実験条件を様々に変化させることにより、スピノンスピン流検証を継続する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一次元反強磁性体は、強性体と異なり漏れ磁場は存在せず、また本質的に磁気秩序が不在であることからスピントロニクスデバイスのダウンスケールによる磁気秩序の変化を考慮する必要がない。このため、素励起スピノンはスピン流の新しい媒体として期待されている。今回、擬一次元反強磁性体BaCu2Si2O7のスピノンスピン流の中性子散乱実験による検証には至らなかったが、素励起がスピノンであることは明らかとされた。当該物質は、潮解性のある擬一次元反強磁性体Sr2CuO3と比べて化学的に安定であり、スピノンスピン流の新しいデバイス材料として期待される。
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