研究課題/領域番号 |
20K20897
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 哲也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10189532)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 熱輸送制御 / ハイブリッド材料 / 相転移 / 熱電材料 |
研究開始時の研究の概要 |
イオン液体中で、相転移を示す無機材料薄膜を蒸着してナノ複合化し、無機材料の電子相転移とイオン液体の液体-固体相転移を利用したスマート熱制御を実現する。具体的には、i) ある特定の温度範囲で熱伝導度が低下する熱輸送温度制御スイッチ、ii)光により熱伝輸送を制御するスイッチ、およびiii) 電界により熱輸送を制御するスイッチの3種類について検討する。いずれの場合も、基板による定常的な熱輸送の寄与が大きく、スイッチングのON/OFF比を低下させるため、最終的には、水に可溶な犠牲層上に成膜し水に浸漬することでフリースタンディング膜を得る。
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研究成果の概要 |
スマート熱輸送制御デバイスの実現に向けて、主に相転移材料の検討を行った。中でも、Ti3O5のフリースタンディング膜の作成は大きな成果といえる。Ti3O5は様々な外部刺激により相転移を起こす材料として知られているが、薄膜や単結晶の作成例はほとんどなかった。本研究では、水溶性の犠牲層上に成膜し、犠牲層を溶解、剥離させることで、Ti3O5のフ リースタンディング単結晶薄膜を得た。フッ素導入により電子物性を大幅に制御できる系の探索にも注力した。その結果、Ni系およびRu系層状ペロブスカイトで、フッ素の導入による金属-絶縁体転移を見出した。イオン液体中での無機材料のナノ構造作成にも着手した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
金属-絶縁体転移を示す材料の熱制御への利用はこれまでも模索されてきたが、フォノンによる熱伝導の寄与が大きく、かつ薄膜の場合には基板を流れる熱流が加わるため、十分なON/OFF比を確保できなかった。本研究では、フォノンによる熱輸送を低減できる可能性のあるナノ薄膜化と、基板からの剥離によるフリースタンディング膜作製を技術基盤とし、これに相転移の外場制御とイオン液体とのハイブリッド化を組み合わせることで、熱輸送制御に新たなコンセプトをもたらすものである。本研究の成果はデバイス実現に向けて、その端緒を開いたものといえる。
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