研究課題/領域番号 |
20K20898
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺崎 一郎 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30227508)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 強磁性半導体 / スピントロニクス / 共置換 / パラジウム化合物 / 室温強磁性 / 磁性半導体 / パラジウム酸化物 / 強磁性 |
研究開始時の研究の概要 |
室温で強磁性を示す半導体は、次世代デバイスに欠かせない物質でありながら、未だ決定的な物質は見つかっていない。本研究代表者は層状パラジウム酸化物PbPdO2がFeとLiの共置換によって室温で強磁性を示す半導体となることを発見した。しかしこの強磁性はこれまでの理論では全く理解できない。本研究で、強磁性機構の解明とその制御を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究代表者が発見した新しい層状強磁性半導体PbPdO2はあらゆる意味で従来の強磁性半導体と異なる特徴を持つ。この強磁性発現機構を明らかにするため、この系の磁気相図の確立と、単結晶を用いた精密測定を行った。磁気相図は複雑でFeとLiを同時に置換することで強磁性が発現するがFeとLiに最適値が存在することがわかった。単結晶の成長に成功し、層方向の輸送測定に成功しその結果、置換されたFeイオンはアクセプタとして振る舞い、系にホールを供給していることがわかった。また研究の途上で、同じPd系半金属Ta2PdSe6が巨大なペルチェ伝導度を示すことを発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で見出された強磁性半導体PbPdO2は、磁性イオンのFe置換では強磁性を示さず、非磁性イオンであるLiを同時に置換して始めて高温強磁性を示す。これは従来の強磁性半導体と全く異なる特徴であり、強磁性半導体設計の未知の指針があることを示唆している。単結晶の成長と精密測定の結果も、我々の直感に反する異常なものであり、置換されたFeがドーパントとして働くことはこれまでの遷移金属酸化物の化学から、極めて特異である。周辺物質として見出したTa2PsSe6は10 Kで巨大なペルチェ伝導度を示し、Pd系半金属の豊かな物性を示すとともに、低温における新しい熱電変換の可能性を提示している。
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