研究課題/領域番号 |
20K20899
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長尾 全寛 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (80726662)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | ベリー位相 / 電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
固体中の量子現象において普遍的位相であるベリー位相は,現代の固体物理において主要な存在である。実際,2000年頃に異常ホール効果がベリー位相で理解されるようになって以降,物質におけるトポロジーの概念の重要性の高まりと相俟って,ベリー位相を起因とする物性の報告が年々増加している。しかし,これまでベリー位相のドメイン構造を実空間で観測した研究は存在しない。誰も観たことがないベリー位相のドメイン構造を実空間で観測することは,ベリー位相に基づく固体物性の基本的な概念を変革する可能性を持っている。そこで、本研究では、ローレンツ電子顕微鏡の結像原理に基づいて,ベリー位相の実空間観察に取り組む。
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研究成果の概要 |
ベリー位相は種々の新規物性の起因として議論されている。しかし、これまで固体中のベリー位相の直接観測した研究は存在しない。そこで、本研究はローレンツ電子顕微鏡法を用いて固体中のベリー位相の分布を実空間で可視化に挑戦し、固体物理学に新展開をもたらすことを目的としている。 ベリー位相に由来する巨大異常ホール効果が観測されているMn3Snを対象に実験を実施した。その結果、ベリー位相に由来するコントラストは観測されなかった。この原因は、異常ホール効果の起因となるベリー位相が分布する運動量空間のエネルギー領域と80kV~200kVで加速された電子線のエネルギーが大幅に異なることが原因と考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
固体物理学においてベリー位相は種々のホール効果の起因として議論されている。しかし、これまで固体中のベリー位相の直接観測した研究は存在しない。ベリー位相分布を実空間で可視化することにより,固体中の量子現象において普遍的位相であるベリー位相のマクロな物性評価では分からない隠れた特性を明示することは、固体物理学のみならず工学的応用の発展においても重要である。残念ながら、本研究では、直接観察の成功には至らなかったが、本研究の実施により、使用する電子線のエネルギーをベリー位相が存在する運動量空間のエネルギーに調整することで、観測可能であるという結論が得られた。これは今後の装置開発の指針となる結果である。
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